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彼女の名前は中里 里子(19)。半起半眠を常に心掛けているわけでは無いのだろうけれど、常にボーッとしていて危なっかしく、また愛らしくもあるその顔立ちと彼女独特のオーラのようなモノが私はかなり好きなのである。しかし今日は珍しい。
「あれ?今日は1人なの?神鬼くんは?」
「イヤイヤマサちゃん。別に私達は付き合っているわけでも、はたまた唯一無二の親友というわけでも無いんだから。別行動の日だって全く珍しく無いよ。」そう言いながら彼女は私の隣にストンッと座る。断りも無しに。まぁ、もともと私達の関係には大学の先輩後輩とは別の関係性もあるから、私は彼女に対して「無礼な奴だ!」とかは思わない。むしろ彼女が敬語などを使って来たら私は有無も言わさず、訪問して尋問して拷問するかもしれない。もちろんこの場合の訪問先は彼女が1人暮らしをしているアパートにだ。というか...
「イヤイヤイヤリコちゃん。貴方たちの関係は確かに恋人同士でも無ければ唯一無二の親友でも無いのは知っているけれど、貴方は彼と常に一心同体のパートナーでしょう?」
「あんなのと1つの心と身体を共有していたら、私は三日間で自我を失う自信があるよ。」そう言いながらも何かを思い出しながら微笑みながら、彼女はスケッチブックと一本の鉛筆を鞄から取り出した。
「あぁ、それは確かに同意するよ。」そう言いながら私も、自分のスケッチブックに目を落とし、描きかけのブランコに鉛筆を走らせた。