00
【私は人ではないのかもしれない】
いきなり荒唐無稽な書き始めで申し訳ない限りだが、これは私が得たあまりにも面白味の無い分析結果であると同時に、私が『人』という定義から逸脱した存在であることの確認のための一文だと思ってくれて構わない。念のために伝えておくが、私は常人離れした運動能力の持ち主でもなければ、背中に羽が生えているわけでもなく、はたまた、不死身だったりもしない。これはそういった類の物語ではないのだ。
ちなみに私は人間である。なので、この『私』というのが猫や犬が擬人化した者でないことも言っておく。そんなモフモフ物語を期待したのならば、すぐさまこの物語を消去することをお勧めする。もしも何らかの手違いで書籍化された物を持っているのなら、フリマにでも出しといてくれ。
さて、本題。【『人』と『動物』の境界線とは何なのだろう】...一般的な事実で言えば【感情】だと私は思う。なぜなら『動物』は『鳴く』事はあっても『泣く』事は無いし『起こる』事は数多くあれ、『怒る』事は無いのだ。
しかし、私だって『泣く』事も『怒る』事も、はたまた『笑う』事も『悲しくなる』事も出来る。しかし問題視するべきはそこではない。この物語の【本題】はさっきの通りであり、またそれに対する【事実】もその通りなのだが、それは【本題】であり【問題】では無く、また【事実】は【事実】であるが【答え】では無いのだ。まぁ、具体的に問題提議をすれば
【私の行動には感情が一切無い】
ということだ。平たく言えば、『心』が込もって無いのだ。私のどんな行動にも。どんな行為にも。しかし、これも本当なら問題視することでは無いのだ。なぜならそれは、どうしょうもなく私個人の問題にとどまるからだ。しかしこれは問題となった。私個人の問題にとどまらなかった。露見した。バレた。たった一人の青年に。たった一人の人間に。 【あなたは人ですか?】
さぁ、退屈なプロローグはここまでだ。ここからが問題であり本編だ。