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ある役者の日常

『望みが屈折して叶う時あなたはどう思う』

配点・欲

私は憤りと絶望とエロスに掻き回されながらも何とか自宅に着いた

帰る途中誤って演劇空間に入っては後ろから鉈で貫かれたり、屍人に噛まれてお仲間になり女優の豊満なオパーイに飛び込んで頭を弾けさせたがそれでも気は晴れる事は無かった。

思えば自分は子供の頃から人を驚かす事が好きでその為ならどんな事でもした、

視覚、聴覚を騙す為に演技を磨き、違和感を感じさせない様に声色を変えて話せる様に努力した、時には姿をいじり、気配を消し、身体を鍛えた

そして騙しの極みと賞賛される演劇街都の「千人」に憧れた、彼らは現実を楽しませ、観客を楽しませ、世界を楽しませた。

彼らは1人で全てをこなし総てが出来た

彼らの存在は観客にとってヒーローでありヒロインであり喜劇であり悲劇であった

そんな彼らに憧れて私は日本を飛び出し航空艦に乗り込んだ

それがいけなかった

航空艦は航空艦オタの基地外に包丁一本で乗っ取られ

人質200名、死者一名のハイジャックとなった

幸いにも結果的な死者は出なかったものの

この死から私の役者としての才能家(タレント)が発現し、千人の道は閉ざされた

この街は個性を際立たせる、喜劇は笑いを際立たせ、悲劇は哀しみをより際立たせ

悪役はより悪役らしくなり、私は死にやすくなった

才能家は才能のサガに縛られる

子役は子役でしか才能が無く、悪役は善人であろうとも嫌われやすく、

そこにロマンチックなものは無くサガは私にとっての絶望でしか無かった

そもそも千人は凡人からしか生まれない

私は味気なくなった街の中、様々な役で死んだ

火事で死ぬ役(ドアが開かず窒息して撮り直し次はバックドラフトでカリカリの豚の丸焼きの様に燃えた、かなり楽)。

車にはねられ苦しみながら伝言を残し死ぬ役(伝言の内容をとちったり度忘れして7回も撮り直した最後に笑ってNGにもなった、死ぬほど辛いが今なら一発で出来る)。

スパイとして殺される役(小道具係の毒がかなり古かったらしく生き残ってしまい急遽秘密をゲロして殺される事になった未だにあいつに恨みが有るが死んで水に流された事にした(トイレに))。

ゾンビとなって殺される役(頭は腐ったかの様に怠いが頭を吹き飛ばされる快感はかなりヤバイ、最近は走らされるから辛い)。

自殺者、他殺者様々な役をこなした

いつも真剣にやっているが次回作に出れる事は無くいつも途中で死んだ

たとえ死な無くて済む役を貰っても事故で死んだりフェードアウトした後、しっかり死んだ。

だからこそ今回、親友である監督のB級に頼んで平凡な主役を貰ったのに

こんなにも私のサガに引き摺られるとは

しかも揺すられるネタを握られた、あんな破廉恥な言動は死後まで慎んでいた楽しみだったのに、これをバラされると役者生活に支障が出る


これであいつのオファーを10作は受けないと曝露されるだろうなぁ

そんな事を考えつつ次の飛び込んだ演劇空間で流れ弾に当たるのであった

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