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ある女優のサガ

『犯人はこの中に居る!』

配点.前科

私を殺した犯人は彼女だ、

間違いなく背負い投げを掛けつつ腕をへし折り痛みで仰向けになった所をヒールで胸を貫いた犯人は呆然としたチンピラ二人をよそにヒールを脱いで鞄に隠し

大通りから居なくなった売人を探しに来たマフィアと警察の人混みに隠れ

私(死体)をダシにさも死によって引き裂かれた悲劇のヒロインの様にここにいた


「だれが、だれがこんな酷いことをッ……!」

テメェのせいだろうが!


私は憤りを感じつつ彼女の濡れた尻を眺め癒されていた

本来なら警察に突き出すか、我が身を傷付けた代償に酷い目に遭わせたいものだが

死んでいるのでどうしようもないこのまま眺める事にする

それにしても丸く、エロい

ここまで惹かれる美しく可憐な尻は中々お目にかかれない

私は巨乳派でありそれに誇りを持っていたが今宵かぎりはユダとなろう

それ程に美しく

かつて偉大な先人の「マロい」真理を一端ながらも垣間見た気がする

周りのシリアスを肴に愉しんでいると


「あなたが犯人です!」

私は犯人の狂言に意識を現実に戻した

殺人者が指差す先にはネズミ顏のチンピラがいた


「あなたがその拳銃で彼の胸を貫いたんでしょう」

中々ネジの飛んだ推理にネズミ顏の男も

「ふざけんじゃねぇ!このクソアマ!自分でやりやがった癖になにいってやがる

それにこれはモデルガンだ!」

ネズミ顏君は健気に無実を主張するが彼女は止まらない

「なら見せなさい!」

そうしてモデルガンを取り合っていると

一発の銃声


モデルガンは本物の9mmの銃弾を吐き出し

誰も傷つけることもなく私(死体)の胸を大きく抉った

おそらくもみ合ったことで銃を交換し彼の指紋を付けてもらい

傷口を新たにすることで彼女の証拠はほぼ無くなった。

こうして犯人は見事狂言どおりに見なされ、彼の腕に手錠が掛けられた。


『カーット』


何も無かった空間にさも当然のごとく彼らは居た、手にはそれぞれ

竿マイク、キャメラ、三脚、照明機材、カチンコなどを持った人々が居り

ばらばらな格好をしているのにそこに居ないかのように異様な静けさを保っていた

その中央に他と異なる彼がいた


「カーット!カーット!畜生どうしてこんなになった!こんなの撮りてぇなんて言ってねぇって台本見たか!青春物でなんでサスペンスになってんだよ!オカシイだろ

何勝手に突っ走って宇宙圏跳び越えてんの?」

まともな事を言ってるんだがその触手を振り回してワニほどの口で話すお前はもうB級以外のモンスターでしか無いと言ってはいけない

彼はこれでも監督である


「おいB級!お前からこいつらに言ってくんないか!今にも刑務所に放りこまされそうなんだが!バケットお前からも何とか言ってくれ頼む!」

「…すいません、監督、この方達に、撮影中の殺人の内容を見せて下さい、それで済みますから…」

私の親友であるカリーは殺人の濡れ衣を着せられ、ゴリラの様な体格のバケットは警察達を抑えながらもB級に頼み込む

ネズミ顏のカリーも必死に頼んでいたが監督は


「すまん無理、偶然とはいえ他所の演劇空間に入っちまった上に重要キャラの売人殺した事になっちまったから許さねぇ時間も無ぇから撮り直し出来ないから許さねぇとアッチの監督に脅されたんだ。だから人身供養だと思ってゴメンね」


「ムショの撮影は嫌だぁぁぁ」

カリーは刑務所に連れてかれ、別れる事となった

そして残った我々は真犯人である彼女に目を向けた

すでに彼女は居らず

茶髪のカツラと口紅で書かれた「お疲れ様でした〜」が残されていた


「とにかく撮影はこれ以上はいろんな意味で無理だな、内容は変更してコメディにするぞ!編集と効果班はいつもの所に一時間後集合!後は解散!」

ばらばらな挨拶と拍手で各々は解散となった私を残して

再び静けさを取り戻した路地裏は私の怒りで破られた


「ふざけんじゃネェ俺は死に役はもう嫌なんだよバカヤロー、今度会ったら揉みしばいてやるメンヘラマロ尻女あぁぁ!‼︎」

起き上がりつつ叫ぶ、だがそこにはまだ人がいた

撮影班の1人のカメラマンの女性がいた

総てを撮影して満足したのか大通りを出て行く

驚愕に動けない私を背にして大きくサムズアップしたのち消える

終わった

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