op1~愛なんて~
1話に攻は出てきませんが、読んでいただきたいですw
気長に見てください、更新おそいのでwwww
昔から、まるで猫のような奴だった。きまぐれで、自由で、本当は繊細で、傷つきやすい。
優しくみせて、本当は人を恐れ、寄せ付けない。
本当の自分は見せないのだ。
十分にそれは理解していたはずだった。けれど、どこかで期待していたのかもしれない。
自分はあいつの特別でいられているのだと。
まったくとんでもない勘違いだ。自意識過剰にもほどがある。
あいつにとって俺は、たくさんの遊び相手のうちの1人なのだ。
本気なんて面倒だ。あいつはそういう人間だったではないか。
俺が本気になったら捨てられることなんて、わかっていたことだ。
だが、俺は落ちてしまった。本気であいつを愛し、あいつが相手をする他の人を妬んだ。
昨日、あいつは言った。重いのは好きじゃないんだ、と。そして、俺をベッドに残し、何処かへ消えた。
あいつのことだ。女の所か、そうでなければ俺より軽く遊び相手をしてくれる男の所か。
どちらでも、そう変わらない。あいつはまた、他の誰かを抱くのだろう。俺にしたように、優しく囁き、キスをして、その指で肌を撫でるのだろう。
もう……どうでも良い。自分を愛さない人を愛し、勝手な嫉妬をして頬をぬらすのは疲れた。
忘れよう。全て忘れ、白紙に戻そう。
もともと、実らなかったはずの想いなのだから。
俺とあいつは幼なじみで、腐れ縁で、いつしか居る事が当たり前になっていて、その関係を俺は気に入っていた。
自由奔放で明るく、人気のあったあいつと違い、俺は生真面目で面白みのない人間だった。
家が近く、昔から一緒にいることが多かったからか、成長して、他の友人が出来ても、つるんでいる、というか絡まれる事は多かった。
高校から寮に入り、同室になった。腐れ縁というだけある。
あのような関係を始めたのもこのころだ。
あいつが女に不自由している所を見たことはない。だから、いまだに何故俺にあのようなことをしたのかは分からない。ただ、あいつの目が、俺をあいつに逆らえなくした。
いつの間にかそれすら当たり前になり、俺が自分から誘うことさえあった。
それを繰り返すうちに、いつしか俺は本気になっていった。
所詮、高校生の遊びのような関係だ。あいつに本気が無いのは承知の上だった。その頃の俺は、それでもいいと思っていた。
傍に居られるなら、それでもいいと。
けれど、大学に入った頃から、あいつの夜遊びが激しくなった。
同じ学校に進学し、また共に居られると。そう、信じて疑わなかった。
しかし、俺達の関係は変わった。
大学からは寮に入らず、俺もあいつも別々に部屋を借りた。
それでも、俺があいつの部屋に行ったり、あいつがうちに来たりして、関係を保っていた。
昨夜は、うちに来た。
いつものように、昼までは普通に友達として過ごした。
夜になり、あいつが急に真面目な顔をした。
いつもと違う雰囲気に、少しの不安。その不安は的中する。
「なぁユイ、もう、この関係やめないか?」
いきなりあいつがそう切り出した。
何故?その言葉は、自然と口をついて出た。
「俺に至らないところがあったなら、直す。それとも、俺と居るのに飽きたのか?」
飽きたといえば、そうかもな。ポツリとあいつが言った。
「お前さ、重いんだよ」
いきなり告げられた別れは、意外にあっさりと理解できた。
意外な事に、涙は出てこなかった。
やはりか、どこかでそう思っている自分が居て。
辛くないとは言えない。苦しくないとも言えない。
それでも、やはり、俺は特別ではなかったのだな、と、少し納得してしまう。
好きだったはずなのだ。でも、どこかで。
居心地の良いこの場所を、失いなくはないと、思っていたのかもしれない。
依存、という奴だ。隣に誰かが居ないと、眠れなくなった。
あいつの所為だ。自分以外の体温を求める様になったのも、裏で遊ぶ様になったのも。
そして、こんなに、諦めるのが上手くなったのも。
いつからだろう。俺は、あいつと別れてから、夜の街に出るようになった。
一人で。
自分から毎晩別の男を誘って。
あいつと別れてから、ずっと思っていた。
愛なんて、ただの幻想だ、と。
所詮夢物語だ。見つけたいとも、探そうとも思わない。
そして、俺は今日も、夜の街に出た。
そこで、とんでもない奴に出会うことになる。
次回からは、攻も出てくるはずなので、楽しみにしてくださると幸いですw