クズの朝
キーンコーンカーンコーン
学校のチャイムだ。今は・・・11時25分か。三時間目の授業が終わったのか。
どうせ俺の欠席には先生のほか誰も気付いていないだろう。 まあ気付いてほしいわけでもないけど。でも今日で欠席30日目か・・まあ中学校なんてもうどうでもいいや。
そんなことを考えていると下の階から兄の光太の声が聞こえてきた。「おーい。クズさっさとおりてこいよー。」怒り気味の声であった。
「クズ」これが俺のあだ名であった。俺には釧路 知という立派な名前があるのにその名前で呼ばれたことなんてほとんどない。むしろ「クズ」のほうが多い。でも、そんな俺にも釧路 知と呼んでくれる人が二人いた。それは幼馴染の金川 雄太と俺のクラスの担任の
尾崎 正先生だ。
「おいてめぇさっさと降りて来いっていっただろうが。なにやってんだよ。」いつのまに光太が目の前に立っていた。ベシッ俺の頬が光太の強いビンタをまともに受けて赤らめていた。「母さんがカレー作っといてくれたから食べとけよ。」俺が下の階へ降りようとすると、光太が補足した。「あっそうだ。カレー冷めてるけど、温めなおすんじゃねーよ。おまえのためにガスを使ったことを母さんが知ったら泣き叫ぶからな。俺はこれから出かけるからな。くれぐれもガスや電気を使うんじゃねーよ。」俺は頬をさすりながら小さな声で「はい。」と言った。
これが14歳釧路 知の一日の始まりであった。