第6話、新たな力への目覚め
セイギの昔話が入ります。
飽きないで読んでくださいね。
今、俺は街までの道を全力で走っている。
リルはどうしたのかというと全力で走っても俺に追い付けないと思うので
ゆっくり来てもらうことにしている。
「おし!最初から全力だ!なんたって飯のた…皆の為だ」
一瞬本音が出かけたが聞いてる人は居ないからセーフだ!
取り合えず片っ端から魔物をぶっ飛ばす事にする。
まず足に特殊魔法の《迅雷》を使う。
この迅雷という魔法は魔力の限り足が速くなる魔法だ。
速さは付属魔法の三倍位速い。
簡単に説明すると神獣さんに《クイック》を使っておっかけっこする場合3秒で捕まり
じゃれるという拷問の餌食になる。
《迅雷》を使った場合あの神獣さんと白熱した追っかけっこを楽しめる。
はいそこ!今、だからどうしたって思ったろ!
マジで神獣先輩速いからな!!
一瞬で目の前にくるぞ!!
神獣が目の前に!
クゥルゥゥゥぞ!?
(しまった!?つい、某芸人の真似をしてしまった!!
こんなことをしてる場合じゃねえ!!急ぐ!)
徐々にスピードを上げて敵にちかづく。
(このままじゃ不味い!!!)
セイギは焦りながら思う。
過去の勇者である国々と争っても勝利するほどの力を持つ。
だが今回の街襲撃は[壊す]戦いではないのだ。
この戦いは[守る]戦いだ。人に当てないように敵を倒す。
だからといってゆっくりやっていると敵に人々が
殺される。
前の仲間の女聖騎士に多少の犠牲は戦争に付き物だと
言われた事がある。
でも人々はみんな生きる権利がある。
その人々がそんな簡単に多少の犠牲になっていいのだろうか。
(そんなのだめだ)
「もう!!もう目の前で人々が死んでいくのを見るのはウンザリなんだよ!!
俺の目の届く限り人々は殺させねえ!!!無駄な血は流させねえ!!!」
彼の目の前で色んな人々が死んでいった。
村が魔物に襲われ逃げる事もできなく死んだただのしがない村人。
無抵抗に地位の高い魔族に殺された魔族。
地位のない人々が魔族に殺され、信頼していた自国に殺される。
そんな厳しい世界で
…彼の師匠は死んだ。…
召喚されて戸惑って混乱していた彼を家に引き入れ、嫌がっている彼に
強引に笑いながらスープを飲ましていた師匠…
戦いかたを知らない彼に時には優しく時には厳しく戦いかたを教えてくれ
て上達するたびに彼と一緒に喜んだ師匠…
彼の師匠は家族でもない彼を家族の様に大切に思っていた…
彼も同じ様に師匠を…
彼の氷の様に冷えてしまった心を溶かし、彼にこの世界を生きる力
をくれた自分の師を家族の様に思っていた。
だが、 彼の師匠は死んだ。
魔族との戦いで瀕死になってしまった彼の師匠を
『たったの一度瀕死になってしまっただけで』
王族の中の人間は勇者の師匠としての権利を
剥奪し、暗殺した。
彼の師匠が瀕死を負った理由は彼を庇ったから。
だが、勇者が助けられたなんて王族は信じない。
そして彼の師は役割不足とみなされ口封じに暗殺されたのだ。
「守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る!!!!!!」
セイギは呪いの様に呟きながら猿型の魔物の頭を蒼白いオーラを
纏った右手で握り潰す。
「ギ!!??」
猿型の魔物は悲鳴をあげる前に息絶えた。
〔セイギ。セイギ。冷静に戦わなきゃ守れる物も守れなくなるわよ?〕
「儀式神様!!!」
儀式神様は彼に消滅魔法を修得するときにお世話に
なった神だ。
彼の燃えたぎる心が徐々にさめていく。
(儀式神様には感謝しないとな。)
「急に俺の前に現れてどうしたんですか」
神様がわざわざここまで理由もなく現れるのは
あり得ない。
〔召喚神ちゃんがあなたにまほーをプレゼントするの忘れてたらしくてねえ。
私がわたしにきたのよ。このまほーがあれば人々を救えるわよー。〕
(そんな魔法が存在するのか!?聞いてみないと。)
「ありがとうございます!でもそんな魔法存在するんですか?」
〔あるわよー。でも人間が普通は使わないまほーだわー。でも神の皆があなたを
気に入ったらしくてね。勿論私もよ?取り合えず頭に術式を流すから唱えなさーい?〕
その瞬間沢山の術式が溢れる様に流れ込んでくる。
(何て細かい術式なんだ!?普通じゃないぞ!!!!)
とんでもない術式の細かさに驚きながら魔法を編む。
〔それは細かいわよー。特別なまほーだものー。この力は神々の力だもんー。
さあ?そろそろ術式を編み終わったでしょー?唱えなさいー。〕
「数多の神々を束ねし神よ。平穏をもたらす自由の力をもたらせ」
溢れる力でからだがみなぎる。
「神王」
神王《 ゼウス》はホントに神の力を借りてる訳じゃありません。
レアなユニークマジックです!!