貴方を癒すためだけに、私は生まれてきた
私の名前、憶えていますか?私は貴方を癒す為だけに生まれてきました。
貴方に会いたかった。たくさんいる私の姉妹から、私を選んでくれてありがとう。それだけで嬉しい。
さあ、私の服を切り裂いて下さい。躊躇いは要りません。それが私の願いですから。
さあ、投げ込んで下さい。私はこの世界から消え去ります。欠片も残さずに。残り香くらいは残しても良いですか?
あぁ、溶けていく私の身体。人魚姫は泡になって消えたそうですね。私も貴方の為に消えて無くなります。
染まる。もうお家に帰らなくてはいけない。子供の心境にも似た寂しさを感じる色。
それは晩秋の西の空の色。でも、昇る朝日の色でもあるわ。だから悲しくはないの。
崩壊していく私の身体。さようなら。貴方に会えて良かった。
もし、生まれ変われるのなら、また貴方に会いたい。
貴方は、砕け散る私の破片を掬い上げてくれましたね。
貴方の優しさ。あぁ、消える。私の最後のひとかけら。
お願い……最後に私の名前を呼んで……
「あ~やっぱり寒い時期にはバブだよな~」