表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の魔法使い  作者: ハルシオン
第一章
3/40

3.「黄」vs無色

3.



 中庭バトル、勃発――!



 展開は一方的だった。

エルザは弱い電気の魔法を放っては逃げ惑うシロを見てあざけり笑う。

現行バディ(←この呼び名はそろそろ返上か!?)のフレッドもその様子を見てニヤニヤ。





 おさらいしよう。

おおまかに魔法使いには四種類のタイプが存在し、「赤」「青」「黄」「緑」の四色で区別される。



 エルザは黄色の魔法使いで、シロはまだ色を持っていない。

色を持っていない状態というのは簡単にいえば、相手を攻撃する魔法を使えない魔法使い。

エルザは黄色から連想される雷の魔法を撃つ事ができるが、シロには同等の武器が与えられていないのだ。



「シロが勝つには接近戦に持ち込むか、この戦いで魔法が使えるまでに成長するしかない。

雷使いを相手に、どちらも無謀すぎる話だけどな」



 とその時、シロが杖を構えて殴りに走る!

魔法使いのくせに杖で殴るって!?(笑)

しかしエルザの雷が直撃し、杖は遥か後方に吹き飛ばされる。

そしてシロも大きくよろめき尻餅をつく。



 対峙するエルザも、勝敗を見届けるフレッドも、

そしていつの間にか集まってきた野次馬の生徒たち十数名も皆が確信した。

黄色い子が勝つと。



 しかし一人だけ諦めなかった。

土くれまみれになってもシロだけは諦めていなかった。

「僕はこんなところで負けられない。

絶対に負けられない理由があるんだ!」



 ふぅとため息をつくエルザ。

「そろそろ疲れたわ。

あんまり魔法使いすぎるとお肌にもよくないし、そろそろ本当に命中させちゃうからねー」

エルザの右手に輝く指輪からより一層まばゆい光が漏れ始める。

生身でこれを受けるのはあまりに危険。

しかし雷はその性質上、目にも止まらぬスピードで標的に向かって飛んでいくため回避は不可能。

壁や盾での防御が必要となるがシロは何も持っていない。





「ガンバレー」

万策尽きたシロに抑揚のない声援を送ったのは、フレッドだった。

「諦めんなシロ~。

小説なんかだとこのくらいのタイミングで覚醒イベントがやってくるもんだ~」

 フレッド、ここでまさかのメタ発言。

周りの視線もお構いなしに応援を続ける。

「お前の名前を聞いたときにもしかしたらと思っていたよ。

お前はひょっとしたら四色のどの色にも当てはまらない究極のタイプ、白の魔法使いかもしれない!

シロだけに白、いいかげんに白。なーんてな」

「メッタなこと言わないで下さい!」



 もちろんフレッドのこの台詞はただの寒いギャグ、ダジャレの域の発言であった。

しかし事態は、魔法使いたちの思惑を大きく外れて侵攻していく。

彼女の手元を離れた雷撃が、稲光とけたたましい轟音をあげて迫ってきた正にその時。





「今、弾いた?」

「消えた、…ていうか消したの?」

「まるで見えない穴に吸い込まれていったように見えた」

集まってきた野次馬が口々に驚きの声を上げる。

中庭は騒々しい物音と、異様な緊迫感に包まれている。

あの時エルザの放った強力な雷撃は、確かにシロめがけて疾走していた。



 それが閃光とともに消滅した。

跡に残っていたのは仰向けに倒れこんでいるシロの姿だけだった。



 そして勝負の行方。

予想以上に魔力を消費したためかエルザも地にひざを着き、必死に息を整えている。

彼女の妙にエロめかしいその姿に目を奪われながらもフレッドは今一度シロの方を向く。



「シロ、お前もしかして」





 勝負は中止。

その後シロは保健室に運ばれ治療を受けた。

もっとも、特に異常も見つからずすぐに寮のベッドに移される運びとなった。



 搬送中にフレッドは、エルザ達に隠していたことを正直に打ち明けた。

「ごめんな。

元々バディの解消は両者の合意と教師の承認がないとできないんだ」



 彼がこのバトルをけしかけた理由はいろいろある。

本当にバディを交換したかったという気持ちもあるし、

ひょっとしたらシロの色が実戦を通して判明するかもしれないという淡い期待があった。

そして見事それが現実になった。



 別れ際にエルザは言った。

「今回は引き分けということにしておきましょう。

でも、次は絶対に負けないわ。

起きたら彼に伝えておいてくださいね」



 これはシロに対するメッセージ。

彼女はフレッドに向けての言葉も添えた。

「先輩のこと結構好みだよ。また会おうね」と。





 シロがやってきて二日目の夜。

あれからずっとスースーと寝息を立てるシロを横目に、フレッドは一冊の文献に目を通していた。

ランプの明かりを頼りに指でなぞりながらその一項を何度も何度も読みふける。

そしてある一つの馬鹿げた結論に辿り着くのであった。



「『闇に落ちた魔法使いの心は、悪魔に黒く塗りつぶされる』か。

俺の見立てではシロは赤でも青でも、緑でも黄色でもない。

ましてや白なんかでは絶対にない。

こいつ…」



 ランプに照らされた寝顔は歳相応に幼く、あどけない。

ショートの黒髪をなでながら、

フレッドは今一度自分に言い聞かせるようにつぶやいた。





「こいつ、黒の魔法使いだ」



 続く。

第一章、完です。

こんな感じで3話ずつ、八章か十章くらいまで書きたいと思いますので応援よろしくお願いします♪



 予告。

「青」の魔法使いと対決するよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ