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底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす  作者: うどん


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10/23

第10話:メッキのプロと狂気で育った変態(☆)

 30分ほどの動画視聴時間が終わり――電気をつける。


「……はい、今ので最後になります……そ、その、何か、質問があれば……な、無いですよねぇ。は、ははは」

「「「――」」」


 頬を掻きながらチラリと全員を見る。

 すると、何名かはコップから飲み物を垂らしている。

 残りの人間はフリーズしたかのように固まっていた……あれ?


 どうしたのかと思った。

 心配しつつ、このままでは呼ばれた意味が無いと本気で焦って――


「……んなよ」

「え? な、何ですか? えっと、月島」

「――ふざけんじゃねぇぞ!! おっさん!!」

「ひぃぃい!?」


 がたりと立ち上がり、どんと机を叩く月島サラさん。

 彼女の端正な顔は険しく。

 血管がびきりと浮き上がっていた。

 怒っている。マジな奴であり、他のライバーたちも静かに怒っていた。


「てめぇ、私たちに“フェイク動画”なんか見せやがって……そんなにチヤホヤされてぇか? あぁ!?」

「ふぇ、フェイクって、あの、その、こ、これが本当に、俺が」

「嘘をつかないでくれますか? 我々も駆け出しとはいえプロです。あんな動きを訓練も受けていない人間が……いえ、訓練を受けていたとしてもあんな常識外れの機動が出来る筈がない。断言出来ます」

「意味不明。出鱈目すぎ……何で150機と戦って無傷に生還? 頭痛が痛いレベル。だる」

「うーん、見応えはあったけどぉ……ネモ的にはファンタージ過ぎっていうかぁ?」

「ニモもぉ。流石に子供だまし過ぎるっていうかぁ?」

「「ねぇぇ?」」


 口々に俺を嘘つきであるとこき下ろす美少女たち。

 俺の尊厳はズタズタであり、涙も堪えられない。

 滝のような涙を流しながら、俺は哀しみで膝を震わせて――バシャガァと音がして扉が破壊された。


「「「え?」」」

「……黙って聞いていれば――テメェら死にてぇのか?」

「「「り、リリアンさん!?」」」

「あ、い、いたんですか。へ、へへ」


 視線を向ければ、アーミースーツを着込んだリリアンさんが立っていた。

 彼女の眉間は皺だらけで、目つきは名刀の如き鋭さで。

 何時もの鈴の鳴るような美しい声はドスが効いて半端なく怖かった。

 彼女がブーツの音を鳴らしながら中へと入れば、全員が秒で起立し敬礼する……軍隊?


「……おい、月島……さっき、根黒様に何て言った?」

「え、い、いや――ふぇ、フェイク動画です!! アレは絶対にフェイクですよ!?」

「そ、そうです!! 先輩は騙されているんです!! あんな動きが出来る訳」

「――Shut up!!」

「「「ひぃ」」」


 彼女の怒声に全員が震える。

 俺は完全に蚊帳の外だった。


「……テメェらのような鼻たれのメスガキには理解できんだろう。このお方は、我々が目指すべき絶対なる存在。例え、私や他の同期が束になって挑もうともこの方に触れる事さえ出来ない。そんな偉大なる王であり、神であり――それをテメェら」

「そ、そんなの……し、信じられないっすよ!! 絶対に、あり得ない……です」

「わ、私も……おじさん、強そうに見えないし」

「に、ニモも……うぅ」

「……帰りたい」

「……っ」


 それぞれが俺に視線を向ける。

 まるで、この状況は俺のせいだと言わんばかりで……そうだなぁ。


「……あ、それじゃ――ちょっとバトルしてみますか?」

「――それだ!! しよう!! バトル!! ね、先輩? それならいいっしょ!?」

「戦えば、嘘かどうかも分かります。私は賛成です」

「それが早そう。さんせー」

「ネモも!」

「ニモも!」

「…………良いでしょう。それなら、先ずは」


 リリアンさんが順番を決めようとした。

 俺はすぐに手を上にあげて意見を伝える。


「――5対1でいいですよ」

「「「……は?」」」

「ふふ……そうですね。それくらいの――ハンデは必要ですね」


 リリアンさんが誤解を生みそうな事を言った。

 すると、物の見事に血気盛んな若者たちに闘志が宿る。

 俺はそんなつもりで言った訳じゃない。

 ただ単純に、グループとして活動するのなら。

 チームとしての連携についてどれほどのものか確認しようよしただけだ。

 舐めプとかではなく……いや、言わないでおこう。


「……おっさん。どれでやる? ヘブフォか? それともグリードか?」

「え、いや、グリードでいいですけど」

「よし、なら勝負の前に――賭けをしようぜ?」


 月島さんはにやりと笑う。

 完全にいじめっ子の顔つきだった。

 俺は恐怖で体を震わせながら言葉を発した。

 

「か、賭け? お、俺、お金は」

「ちげぇよボケ……私たちが勝ったらぁ――私たちのパシリ決定な?」

「「「ふっ」」」

「……ガキがぁ」


 くすりと笑う少女たち。

 月島さんは猫のように目を細めて薄っすらと頬を紅潮させていた。

 その界隈の人にとってはご褒美であろうが。

 十代の少女たちに奴隷のようにこき使われるのは成人男性として少し……まぁいっか。


「分かりました」

「……言えよ」

「え、何が?」

「賭けっつったろ……まぁ聞くだけ聞いといてやるよ」

「えぇ俺は別に……じゃ、腕立て伏せ十回で」

「……チッ、つまんねぇな」


 何故か、舌打ちされて……な、涙がぁ。


 俺はさめざめと泣く。

 すると、彼女たちはグリードでの対戦ルームを作って来ると言って先にゲームへと飛んでいった。

 残された俺とリリアンさんは互いに見つめて――リリアンさんが土下座した。


「え!? あ、ちょ!?」

「申し訳ございませんでした。先輩として深く謝罪させていただきます。足りなければ、慰謝料も払います。ですので、どうか」

「あ、頭を上げてください! べ、別に俺は何とも思ってませんから、ね?」

「……貴方様は本当に寛大なお方です。ですが、あの態度は私も許せません……私から言うのもなんですが――徹底的に心を折ってやってください」

「え、えぇ? で、でも……い、いえ、ど、努力します。はい」


 彼女の圧にまけて承諾する。

 彼女は満面の笑みで頷き。

 そのまま、観戦ルームから観戦すると言って部屋を後にし……うーん。


「心を折るねぇ……そんな事、やった事ないけどなぁ」


 考える。

 どうすれば心が折れるのかと。

 考えて、考えて、考えて……舐めプ、とか?


 彼女たちはプロであり、プロならばゲームの腕に誇りを持っている筈だ。

 そんな彼女たちに対して、明らかに本気じゃない装備で挑めば……でもなぁ。


 舐めプはある程度、相手の実力が分かっていなければ危うい。

 下手をすれば、そのまま負ける事だってざらだ。

 ましてや、5対1の上に相手は全員プロで……舐めプってほどじゃないけど……。


「……よし。アセンはあれでいこうか! それなら、まぁ、そこそこ……いけるかなぁ?」


 俺は装備の構成を即席で考えた。

 上手く行くかは分からないけど。

 はたから見れば舐めプであり、十分に機能するとは思う。

 俺は少しだけ緊張しながらも、新たな闘争を前にして――熱を燃やしていった。


 

 ○



「舐めんなよ、おっさんがぁ……ぜってぇ泣かしてやる」

《サラ、落ち着いて? 尊敬するリリー先輩を誑かしたあの外道は許せませんが。クールに行きましょう》

《どうでもいいけどぉ。早く終わらせよぉ?》

《見て見て!! ネモの新機体!! ダブルガトリングだよぉ!! かっちょいいでしょー!!》

《ニモはハイパーキャノン二門!! 一撃で木っ端みじん!! ははは!!》


 月夜の下。

 燃え盛る戦争跡地であり、一つの都市は炎の海に呑まれていた。

 仲間たちの機体はフルカスタムであり、相手の機体は情報通りならただの量産型だ。


 麻衣は重量級であるものの、スラスターを大型化する事で機動力を確保。

 瞬間加速で言えば、並みの高機動モデルにも負けない。

 燃費は死ぬほど悪いけど、速さと装甲を両立した機体だ。

 その装いは古のスパルタ兵士のような頭部に、分厚い装甲の機体で。

 黒を基調とし、青いラインが入っていた。

 装備はエネルギーバズが一つに接近戦用のラウンドシールドが一つ。


 ミーニャは両手が武器と化した“ウェポンアームズ”。

 軽量級の機体であり、機動力はぴか一だ。

 距離を置きながら、相手へと特殊なパルス兵器を当てて。

 内部からじわじわと機体を破壊していく戦闘を好む。

 緑色のカラーリングで、本人曰くカマキリをイメージして作ったらしい。


 ネモとニモの機体はタンクだ。

 機体の構成はほとんど同じでカラーリングも青色で統一していた。

 唯一違うのは武器の趣味であり。

 ネモはダブルガトリングなんてロマン構成で。

 ニモに至っては対1戦闘だというのにハイパーキャノンなんてジャイアントキリング用の武器を……たく。


「……まぁいいさ。あんな奴、どうやっても私たちが――!」

「「「……!!」」」


 レーダーが敵の反応をキャッチ。

 ぐんぐんとスピードを上げて――前!!


 全員が前方の時計塔を見つめる。

 すると、黒煙から奴の機体が飛び出し――時計塔の上で止まる。


「アレは……7A……リリアンさんの情報通りだ」

《あらあら、ふふ》


 “7A”――別名、セブンエース。


 中量級のバランスの取れた量産機体。

 安価な値段でありながら、性能は高く初心者から玄人まで愛される機体。

 違いがあるとすれば、装甲が削ぎ落されているところだろう。

 細身であり、背中のバックパック型のスラスターの方が存在感がある。

 丸みを帯びた頭部、そこに取り付けられた青いバイザーが――妖しく光る。

 

「……何だ。この、プレッシャーは?」

 

 灰色を基調としたカラーリング。

 奴が使うそれはまるで、狼のような獰猛さを感じさせる。

 が、如何にチューニングをしていようとも量産型。

 カタログスペックが多少変わるだけで、私たちのワンオフのような可能性は無い……それなのに。


 震える。

 手足が震えていた。

 それは恐怖と――“怒り”からだ。


 私は奴へと通信を繋げた。


「てめぇ、どういうつもりだ――何で、ブレード一本で此処に現れた!!」

《……これでいいと思ったので。はい》

「これで、いい、だと……あの腐れ外道がぁ!!」


 私はぶちりと切れる――舐められている。


 お前たちなんぞブレード一本で十分だと。

 これさえあれば勝てると――奴はそう言った。


 カウントダウンが始まる。

 私は歯をむき出しにして怒りながら。

 全力で奴を叩き潰すと誓った。


「テメェら。気抜くなよ。あのカス野郎を――ぶっ殺すッ!!!」

《《《了解ッ!!》》》

《……え?》


 カウントダウンは進み――ゴングが鳴る。


 私たちは一斉に飛び出す。

 攻撃をしようとすれば――奴は背を向けた。


 逃げた。

 そう思って、私たちは奴を全力で追う。


「絶対に殺す。必ず殺す……そんな装備で挑んだ事……死ぬまで後悔させてやる!!」


 奴への怒りを滲ませながら。

 私は最低のインチキ野郎の背中に銃口を向けた。

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