(番外編1)存在
超が付くほどのショートストーリーです。
初めて一条夏海視点で書いてみました。
6話
鏡に映る自分の顔は、まるで他人みたいだ。
毎日、鏡を見るのが怖い。
だって、そこに映っているのは、泣いている私だから。
お風呂に入ってシャワーを浴びながら、熱いお湯が私の体中を洗い流してくれるのを待つ。
でも、お湯は心の傷までは洗い流せない。
鏡に映る自分の腕には、まだ薄っすらと痣が残っている。
あの時の母の顔、そして自分の叫び声が、今でも耳に残っている。
今の学校ではみんな優しくて、先生も面白い。
でも、本当はここにいるべきじゃないんじゃないかって、思ってしまうときがある。
だって、私がここにいることで、誰かに迷惑をかけてしまうかもしれないから。
私のせいで、みんなが私のことを気にかけて、気を遣ってくれているんじゃないかって。
夜、布団に入って目を閉じると、毎日のように悪夢を見る。
逃げようとしても、どこまでも追いかけられて、息苦しくてたまらなくなる。
そんな悪夢から覚めると、いつも枕が涙で濡れている。
でも、私は諦めたくない。
いつか、この暗いトンネルから抜け出して、笑顔で鏡の前に立てる自分になりたい。
そのためには、まず自分と向き合わなければいけない。
鏡の中の私へ。
あなたは決して一人じゃない。
一緒に頑張ろう。
次回は12月16日月曜日22時ごろに投稿します。