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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第91話 戦艦の視察の案内人

「それで海賊が出た場合は水族ではどのような対応をしているのですか?」


 被害の深刻さに心を痛めながらも美雨は気になることを質問する。

 海賊の被害に対して現在水族がどのような対応を取っているのかを知ることは大切だ。

 もしその対応が不十分であればさらなる対応が必要になるのだから。


「海賊が出たという情報が入れば水族が所有する戦艦で討伐に向かいます。それ以外でも定期的に戦艦で巡回して海賊船を見つけ出すというのが最近の私たちの主な仕事になっていますね」


 美雨は水の都の港に停泊していた巨大な戦艦の姿を思い出した。

 おそらくあの戦艦たちが海賊の討伐に使用されるのだろう。


「この屋敷に来る前に港にある大きな戦艦らしき船を見ましたがあの船で海賊を倒すのですか?」


「ええ。戦艦にも種類がいくつかありまして、一番大きな戦艦は「海芳丸かいほうまる」という私が所有する船です。近隣諸国にも海芳丸の大きさや性能の高さを上回る戦艦はありません。ただそれ故に操縦できる者が限られてしまっているのが難点ですが」


「誰でも操縦できるわけではないのですか?」


「はい。海芳丸を操縦できる高度な技能を持つのは私と海人と氷室の三人しかいません」


(海芳丸という戦艦を動かせるのは三人だけなのね。戦艦って乗ったことがないけどどんな船なんだろう)


 もちろん戦艦が戦闘用の船だということは理解できるがそもそも美雨は戦艦どころか海を航行する大きな船に乗ったことがない。

 機会があったらぜひ船にも乗ってみたいという思いが湧き上がる。


 女王になる者としても一度も船に乗って海を航行した経験がないというのはいけない気がしてきた。

 水族と海は切っても切れない深い関係である。水族を知るためにも美雨は船に乗りたいと海羽にお願いしてみることにした。


「もし可能なら私を戦艦に乗せてもらうことはできますか?」


「美雨様をですか?」


「はい。私がもし女王になった時に海賊討伐するための知識のひとつとして戦艦というモノを見ておきたいのです。もちろん戦艦内部のことは他言しませんので」


 戦艦の性能に関することはこの国の国防に直結することなので一般の民にその内部の詳細が知らされることはないだろう。

 だが美雨は女王を目指す者だ。戦艦に関する知識がなくては戦艦の重要性が分からない。


 自分に知識がない時はそれを調べて身に付けるようにしなさいと美雨は女王教育で習っている。

 知識がないことは恥ずべきことではなく知ったかぶりをする方が恥ずべきことだということはこの王配選びの旅に出て美雨が学んだことのひとつでもある。


「そうですね。美雨様が望むなら海芳丸に乗船することを許可しましょう」


「ありがとうございます、海羽様」


「いえ、ただ私はこの後に用事があるので海芳丸の視察には海人か氷室を同行させますがどちらの人物が良いとか希望はありますか?」


(え? 視察に同行してくれる相手を選ぶの? う~ん、海人様か氷室様かと言われると……)


 美雨の脳裏に浮かぶのはあの壮絶な美しさを持ちながら瞳に闇を抱える氷室の顔だ。

 氷室の抱える闇が何なのか知るためにも氷室との時間を取った方がいいのかもしれない。


(でもここで氷室様を指名したら私が氷室様に気があるって思われないかしら。それはそれでちょっと恥ずかしいわ)


 美雨が悩んでいるとそれまで黙って話を聞いていた光主が発言する。


「美雨を戦艦に案内する者は氷室殿にしてくれませんか?」


「……光主殿にはお聞きしていませんが?」


 海羽は厳しい視線を光主に向ける。

 きっと水の王配選びに関することに口を出すなと言いたいのだろう。


「別に海人殿か氷室殿か族長としてはどちらでもいいのですよね? それならば既に私と面識のある氷室殿になら美雨を任せられると私は判断しただけです。美雨の安全を考えるのは光の王配として当然ですから」


 光主はあくまで光の王配としての立場で発言をしたという態度を崩さない。

 女王を護るのは王配の務めのひとつ。それを海羽も否定はできない。


「確かに美雨様の身の安全は王配として何よりも優先されることですな。しかし氷室と光主殿が既に面識があるとは思いませんでした。いつ氷室に会ったのですかな?」


「ちょっと屋敷内を歩いていた時に偶然出会っただけです。その時に氷室殿と挨拶を交わして氷室殿が霊力の強い人物だと分かったんですよ」


(氷室様って霊力が強いの? 光主様が認めるぐらいだから相当強いってことよね)


 霊力の強さは普段の姿では分かりづらい。

 特に霊力が強い者ほど自分の霊力を制御する能力に長けている者が多いので美雨も水の王配たちと顔合わせを行った時には個々の霊力の強さは分からなかった。


 雷神を身に宿す光主の霊力はずば抜けて強いが光主が力を解放しない限り最近は美雨が光主の霊力を感じることはない。

 それは光主が己の霊力を完璧に制御できているからだろう。


「確かに氷室は霊力の強い者ですが水の王配候補者はみんな霊力が強い者ですよ。それだけは断言しておきましょう」


 水の王配候補者たちはみんな霊力が強いのだということを海羽は強調する。

 光の王配に水の王配が力で劣ることはないと光主を牽制したようだ。


(このままでは光主様と海羽様の関係が険悪になりかねないわ。やはり私から指名しないと……)


「海羽様。私も氷室様に頼みたいと思っていたのです。だから氷室様に案内を頼むことはできませんか?」


「それは美雨様ご自身の意思でいらっしゃいますかな?」


「もちろんです。それに私は氷室様だけでなく水の王配候補者の皆さんと交流して水の王配を決めたいと思っています。光族でもそのようにして光の王配を選びましたので」


「……分かりました。では氷室にそう伝えておきます」


(ふう、なんとか海羽様と光主様の対立は防げたわね。でも光主様と海羽様の態度を見ていると各部族にはまだまだ見えない壁があるように感じるわ)


 王配は各部族の象徴として君臨する存在だ。

 王配同士に優劣をつけることは各部族同士に優劣をつけるのと同義。


(女王を目指す以上、私も光主様と水の王配に優劣をつけないようにしないと……特に気持ちの上でどちらかを愛するってことがないようにしないとよね)


 そうは思うものの果たして複数の男性に同じ愛情を持てるのか美雨はまだ分からなかった。

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