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Switch  作者: イルミン
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Switch 1

※ 屋外で下半身を出して自慰をすることは公然わいせつ罪にあたります。決してしないようにしてください

フィクションだからできる事です。もしこの小説に影響されて屋外自慰をして警察に捕まってもこちらは責任を一切取りません。


1


一応言っておくが僕は千年に一人の変態ではない。かと言って仏様や神様のように性の悟りの様な心を持っている訳でもない。気が向いたらFやPから始まる超優良サイトでホカホカの白飯なるブツを携え、彩色豊かなサンプルや10分以上する刺激の強い動画をオカズに気持ちよくなっている普通の男子だ。


家族が寝静まった深夜、誰もいない公園のど真ん中で堂々とG行為に励む事だけを除けば。


2


僕が住んでいるS市は関東地方に属しているのに人口5万人位で、長所が無く短所しかない街だ。地形は北側は小高い山々が、それ以外の方角は雄大な関東平野が退屈そうに寝そべっている。

電車は1時間に2本か3本。バスは都心へ行くまでに何回も乗り継がなければならない。あるとするならばおじいちゃんおばあちゃんがよく使う系列のスーパーを巡回するバスの様な交通機関ぐらいだ。

更に物が買える所も少ない。イオンも無ければコストコもない。一番近い物が買える場所といえば「地元のスーパー サクラマート」といういつ壊れてもおかしくない程壁にひびが入った建物と向かい側に立つコメリ位だ。そこから山側に数分行った先にある名前もない小さな公園で行為に励んでいる。


いつからその性癖に目覚めたのかは覚えてない。

ただ確かに覚えているのは部屋の中でシていた時よりも数十倍、下手したら何百倍もの快楽と初めて抜いた時よりも強い武者震いや形容しがたい気持ちからリンチされたみたいな感覚。再び意識を取り戻した時に微かに残ったざらざらとした砂の感触。まるでレッドブルやモンスターエナジーを注入したと同時に襲われる高揚感のような、気持ちよく感じる程強く麻痺したような感覚に身体と精神を隅々まで犯されてしまった。現在では家族が寝静まった深夜に窓から慎重に抜け出し、公園までバレないように移動した後行為に及んでいる。


          3


「そろそろか...」

0を短針が少し過ぎ、長針が1に到達しようとしていた4月某日。慣れた手つきでベッドをぬいぐるみで膨らませ、いつも通りの手順でG行為をしに家を出た。外に出る時は決まって寝巻にパーカー(フードで目を買うため)。少しでも存在感を消す為に導き出した最適解だ。

僕の家や学校は山のすそ野に位置しているため夜は太陽が出ている時よりも少し寒くなる。だが数ヶ月前はもっと寒かったからかあまり変化を感じなかった。

弱々しく光る街灯の列に沿って進み、今日はどんなサンプルで抜こうか 等と上機嫌になりながら煌々と道路に明かりを与えているサクラマートを横切ろうとした時だった。


        4


「お前何時だと思ってるんだ!家に帰れ!」

低く野太い声があたりを木霊した。そして一昔前に世間を騒がせた凶暴な熊のような風貌をしながら、何故か裾にフリルの装飾が施されたエプロンを着た店主が中から出てきた。しかも人2人~3人位なら簡単に抹消できそうな眼圧を纏った目と目がばっちり合うという最悪のオプション付きだ。

地球の裏側まで届いてしまいそうな声と体を貫通しそうな程鋭い圧に足がすくみ、体が釘を

カーン!

と強く打ち込まれたかの様に一歩も動けないでいた。店主の足音が1歩、2歩と確実近づいてくる。

(もしかして今日で人生詰む…?大丈夫、きっと何とかなる いや、何とかなってくれ)

思考が焦りと絶望で染まるのが直感で分かった。吐息や心臓だけでなく体内で機能している全ての器官の音が心做しかいつもより鮮明に、そして小さく聴こえた。

「アンタ未成年だよな?今何時なのか知ってんのか?コッチも面倒臭いんだよ。色々手続きしなきゃいけないしさ。」

ボクサーが取るようなファイティングポーズで距離を詰めながら威嚇する店主の影が視線の隅に捉えた。その時、やっと足が行くべき場所の方に動き出した。2、3歩目位は心にこびり付いた恐怖心からよろめながら前に進んだが、その後は

(一刻も早くここから去らなければいけない)

との焦りから今まで出したことのない程のスピードで現場から逃げ去った。てっきり拳を交えると思い込んでいた店主は意表を突かれたように一瞬立ち尽くしたが、

「待てゴラァ 話は終わってねぇぞ!」

と更に大きく吠えながら迫ってきたが、追いつけないと分かると往生際良く足を止めた。

そんな事にも気づかずに往路を脇目も振らずに駆け抜けた。片側に設置された街灯が残像からかショートして激しく火花を散らした電線のようで綺麗だった。

後ろからキィ と少し軋んだ音を鳴らせながらドアを開ける音を聞き落としながら目的地を目指した。

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