裏切りの夜-11
C 地区へと急ぐリンとアナ。
クインが囮となってしまった現状、早急な合流に迫られていた。
すると突然、現地監視員が二人の行く手を遮る。
「なに!?」
リンが怪訝な顔で叫ぶ。
すると現地監視員がアナに向かって目で合図した。
「リン。ちょっと待っててくださるかしら。」
アナはそう言うと現地監視員と共に路地へと入り、真剣な顔で話を聞いている。
それを見ていたリンの表情が疑念のそれに変わる。
時間にして1分余り。
短い時間で戻ってくるアナ。
「お待たせしました。急ぎましょう。」
と言って一歩踏み出そうとするが、
「アナ、監視員となに話してたの?」
とリンが聞く。
「たいしたことではありませんの。
お気になさらず。」
とアナがはぐらかす。
リンが追及の言葉を発そうとした時、ポケットの中で自作スマホがバイブレーションを始めた。
「アナ!!壁になって‼」
リンはそう言うと先程の路地に入り、それをアナが周囲に見られないようにブロックする。
リンはスマホを一回フリックして耳に当て、
「来てくださったのですね。
感謝します。ミセス・クサバ。」
と話し始めた。
「ええ、カスミはまだ生存しております。
しかし事態が変わりチップの除去を今から行うことになりました。
はい…ええ、本来ならミセスのご到着後にと計画していましたが、状況が切迫しておりまして…。」
丁寧でいて早口で説明するリン。
「そうですか、皆様もご一緒にいらしてくださったのですね。
それではミセス。先日の計画通りC 地区の集合住宅にて合流いたしましょう。カスミもそこへと向かっています。
あとお願いしていた除去の段取りも済ませていただけると助かります。
はい…はい…承知しております。
ですからお仲間の皆様にはまだ動かない様に指示の徹底をお願いします。
それでは後ほど…。」
そう言って電話を切ったリン。
「急ぎますわよ、リン!!」
電話の相手と状況を察したアナが促す。
リンはアナを一瞥してスマホをポケットに突っ込み再び走り出した。




