裏切りの夜-9
マリアとアリーがバトルを始めたころ、リンとアナ、クインはD 地区に移動していた。
自作スマホをチェックしながら歩くリンが突然立ち止まって画面を凝視し始めた。
「リン?どうしまして?」
アナが聞くと、
「しまった…!!
先にマリアがバトルを始めちゃった…。
早い…早すぎるじゃない!?」
リンが大きな声で叫び感情的になる。
慌ててアナがリンの口を塞ぎ、
「落ち着きなさい。
周りは監視員だらけですのよ。
そのスマホだって端末として見られているからバレずに使えていることを忘れないで。」
と冷静にさせる。
「それで?さっそく破綻したけど?」
とクインがあきれ顔でリンを追い込む。
苦々しい顔のリンは少し考えてから、
「ルビー、カスミ聞こえる?
事態が変わった。C 地区に早く移動して待機。
こちらもタイミングをみて合流するから。
いい?」
と指示をだす。
『聞いてたよ、りょーかい。』
とルビーが答えるが声が笑っている。
「まだ早いのよ…。
待ち人がこないと、あの二人の退路を確保できない…。」
リンがつぶやく。
「今夜にはこの街に入るのでしょう?」
アナが確認する。
「来るならね。
あっちが私を信じてくれていればのhなしだけど。」
確信が持てないリン。
そこにクインが口を挟む。
「結局はなんか暴れればいいんだろ?
そして注意を集中させるって作戦だったろ?」
と単的に作戦を確認する。
「ええ、そうだけど。」
リンが答えると、
「今、一番ここから近い奴は誰だ?」
グッと顔を近づけてクインがリンに問い返す。
「どうしてそんなこと聞くの?」
リンに嫌な予感が生まれる。
「わたしがバトルして時間稼いでやる。
お前らはすぐにカスミのとこに急げ。」
クインの言葉に落胆するリン。
「私もご一緒しますわ。」
アナがクインに同調する。
その言葉にリンが静かに感情を出す。
「ダメダメ!!
この近くに誰がいるかって?
教えてあげるわ。
クローレよ。
クローレ・プルシェンコが北に3キロ地点を歩いているわ。
っていうかもうシザーかクローレのどっちかしかいないのよ。
マリアをアリーに取られたのが痛い…。
どっちにしろクインの提案は却下よ。
アナもいい加減にして!」
そう締めくくるが、
「北だな。フェニックスのお嬢様はリンと一緒に行きな。
カスミとルビーのチップがちゃんと取れるまで死んでもらっちゃ困るからな。
それにしてもロシアの女将校か…。
おもしろい!!
じゃあ、ちょっくら暴れてくるから、またあとでな。」
と言ってクインはひとりで歩き出した。
「クインさん、お待ちなさい!!
無謀です。あの人には銃が通用しません。」
アナが引き留めるが、
「ああ、そうらしいね。
でもコイツは使えるだろ?」
と拳を見せてニカっと笑った。
「アナ、イヤホンをクインに渡して。」
リンが厳しい眼差しを向ける。
深いため息をつきながらアナは自分の耳からイヤホンを外して、クインにそっと渡した。
「クイン。約束して。
こちらが無事終わったら連絡する。
そしたら必ず離脱してこっちと合流して!
絶対に、離脱するの!」
リンの切迫した雰囲気に、
「お前ってやさしんだな。
ま、連絡待ってるよ。」
とクインが照れたようにおどけて見せてそのまま再び北に向かって歩き出した。
「つらい決断でしたわね、リン。」
アナがそっと肩に手をやる。
「急ぐよ!!
早く向こうと合流してクインを呼び返さないと!!」
そういうとリンは走り出し、それにアナも続いた。




