裏切りの夜-2
隠れ家で合流した三人。
ルビーの無事帰還を安堵の表情で盛大に喜んだ霞だが、その直後にクインへの怒りを爆発させた。
「無事に帰ってきたからよかったけど、もし何かあったらどうするつもりだったの!!」
霞がクインに詰め寄る。
ルビーが帰ってくるまでの間、ずっと拘束されていたのだから溜まったストレスと怒りが一気にあふれ出す。
クインの方は笑いながら、
「そんなに怒んなよ。
最初に言ったろ?ルビーは強いから大丈夫だって。
現にちゃんと無傷で帰ってきた。めでたしめでたしじゃないか。」
と、宥めているのか茶化しているのかわからない態度。
ルビーは「まあま」と霞を落ち着かせようとするが、霞の怒りはおさまらない。
「冗談じゃない!!リンさんから何言われたかわからないけど、わたしたちを引き裂くつもりなら、みんな敵ね!!」
ここまで霞が感情的になるのは非常にめずらしい。
それだけ彼女がルビーの身を案じ、不安だったかがうかがえる。
「ああ、リンが止めてくれてたのね。」
と、ルビーは逆に穏やかな顔をする。
「そうか、じゃあここで勝負つけるかカスミ!?」
クインがわざと挑発にのる。
「のぞむところよ!!」
とあっさりと喧嘩を買う霞。
目が完全に戦闘モードとなっている。
慌ててルビーが割って入る。
「ちょっと待って!!
二人とも落ち着いて。
カスミ、クインは悪くないし、リンも悪くないの!!
リンとクインは私の意思を尊重して、カスミをこっちに来させなかったのよ。
だから、一回落ち着いて。ね?」
とクインを睨み続ける霞を説得する。
そしてクインに向かって、
「お礼を言うわ。
でもモニカを殺した事への謝罪はしない。
仲良かったんでしょ?」
と霞を納得させるために礼を強調して話す。
「謝罪なんて必要ない。
部署は違うが陸軍で馴染みだっただけ。
プライベートまでの付き合いはないから、別に感傷に浸るような事は無い。」
と、ぶっきらぼうに答えるクイン。
「だからカスミ、もう怒らないで。」
優しくルビーが宥める。
「どうして?」
霞が小さくつぶやく。
ルビーが思わぬ返答に戸惑う。
「どうしてわたしだけ知らないの?
ルビーの事なのに…。」
と霞は、震えた声でルビーを遺憾の眼差しで見る。
ルビーはハッと息を飲んだ。
自分の中で、丸く収めようという甘い気持ちがあったことに気づく。
それによって霞に大きな心配や不安をあたえてしまった事実に自己嫌悪する。
「そうだね…カスミごめんね。
カスミだけ置き去りにしてしまった…。
自分を守るためにカスミには隠したかった。
でも、それは間違い。全部話すね。
なぜ、ジンに恨まれているか、そしてなぜカスミに見られたくないほどの残酷な殺し方をしたかを。」
そう言うと霞と向き合い両手を握ってゆっくりと腰を下ろした。




