裏切りの夜-1
7/28 17:50
シウダー・フアレス地下【管理本部】
定例ミーティング10分前
チャーリーがモニターに表示されているプレイヤーのオッズを見ながら感心していた。
「おいおい、ルビー人気が爆上がりじゃないか?
二人相手に素晴らしいパフォーマンスだったからな。
21倍から13倍。しかも20パーセント上乗せ。
盛り上げてくれるな。」
マッチ配信されたバトルを見たギャンブル側の参加者がルビーへの投資を一斉に開始した。
それを一緒に見ていたA 地区のマネージャーが、
「それにしても上位三人は盤石ですね。」
上位三人とは、
クローレ 2.0倍+20%
シザーハンズ 4.5倍+10%
クイン 6.5倍+30%
である。
続いて、
ルビー 13.0倍+20%
マリア 15.5倍+10%
G 21倍+10%
アリー 29倍
アナ 35倍
アンジェリカ 80倍
リン 170倍
という並びで生存者の支持率を表している。
「夜を前にして、このプレイヤー数は理想ですね。
さすがです、マスター。」
E 地区のマネージャーが媚を売るような声色で言う。
「ああ、沈黙の昼間だからな。
例年、この時間帯はプレイヤー同士が避け始める。
夜に温存しておきたいのも共通の心理なんだな。
ただ一回はビッグマッチを誘発したいもんだよ。
でなきゃお客さんが退屈しちゃうからね。」
と、気を良くしたチャーリーのドヤ顔が決まる。
そこへ突然、C 地区の監視委が大声で、
「シザーハンズとアンジェリカが遭遇。
配信準備できています!!」
と、報告し指示を待つ。
「やっと出てきたか囚人。
寝込みを襲うために夜は隠れて逃げ回り、昼になって表れたと思ったらフラフラしてエンカウントすらしない。
一番つまらない女だ。アンジェリカ。」
とチャーリーは悪態をつきながらバトル配信の指示を出す。
【スペシャル・ショーダウン】
という文字と明るいファンファーレと共に配信がスタート。
特別betが表示され、棒グラフのような掛け率が画面に現れ、シザーハンズの圧倒的な人気を見せつけたところでbedは締め切られた。
そしてすぐにバトルが開始。
この絶妙なタイミングはチャーリーの手腕ではなく、統括マネージャーの熟練の技。
まさに職人の域にある完璧なbed開始と締め切りのさじ加減。
このバトルフィールドを本当の意味で管理しているのは、まさに過去4回の大会を統括してきたこの男である。
そして勝負はあっけないものだった。
なにをどう思ってこの大会に志願してきたのかと疑問に思うアンジェリカのもろさ。
シャブ銭目的の娼婦は30人の男を殺害し、アイリーン・ウォーノスの再来とまで言われたシリアルキラーだが、しょせんはただの薬物中毒者。
散々、銃を乱射した挙句、一気にシザーハンズに懐へと入られ、鉄の爪でみぞおちを貫かれた。
「ま、そんなもんだな。」
とチャーリーは落胆すら見せずに、
「さて、ミーティングを開始しよう。」
と声を上げてエリアマネージャーを招集した。




