汚れ無き世界-14
ボマーがまき散らした火薬が砂塵の如く風に舞う。
「い、い、いいかいお嬢ちゃん!!
ちょっとでも動いたら着火剤つけるからね!!
こ、こ、この火薬に火がついたらあんたもこの一帯も火の海さ!!
まる焦げになりたくなかったら攻撃態勢を解除しろ!!」
ボマーが震えた声で精いっぱいの脅しをかける。
しかし霞は顔色変えずに、
「どうぞ。
やってみればよろしいかと。
やれるのであればだけど。」
と感情のない言葉をつぶやく。
絶句したボマーの腕が大きく震えだす。
霞が続ける。
「そんな勇気ないでしょ?
だってあなたにも火薬の粉がたっぷり付着してる。
その着火剤に火をつけたらあなたも火だるま。
風向きを考えれば、わたしよりあなたの方が燃えるかも。
もしそれを実行するなら火薬をわたしに投げつけた時にすべきだった。
でもあなたはしなかった。
なぜ?
結局は逃げるための手段。
こうやって距離をとって、わたしの動きをとめて離脱することしか考えていないの。
足らないのよ…あなたには…決意が。」
まるで憐れみを浴びせるような霞の冷たい視線。
「あわっわわ…」
ボマーの顔面から大量の汗が溢れ出す。
そしてまさに逃れるように霞に背中を向け必死の形相で逃げ出す。
霞はその後ろ姿を見ながら、フーっと息を吐いて足を踏ん張り一気にボマーへ飛び掛かった。
それを見ていたクイン。
(おい…姿が消えたぞ!?)
霞の動きに驚きの顔を見せる。
「いやだぁ…いやだぁ…死にたくないイイーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
醜態を晒して逃げるボマーの背後に霞の影が迫る。
そしてボマーが、まるで糸の切れたマリオネットのように何度も体をくねらせる。
その度に血しぶきが上がる。
さらに腕が切られ宙を舞う。
霞が高速で幾度もあらゆる角度から斬撃を入れているのだ。
まるで死のダンス。
舞い上がった火薬に血が付着し霧のように視界が曇る。
それが晴れた時、すでに絶命したボマーと、それを見下ろす霞の姿があった。
「クインさん!!
ルビーのところに行くよ!!」
すぐに意識を切り替えた霞が屋根から飛び降りて走り出す。
「お、おう…!!」
霞の戦いに見とれていたクインも慌ててそれに続いた。




