汚れ無き世界-9
7/28 I 地区 11:45
リンが2時間前に霞とルビーの安全を確認して、自作スマホで【企み】のためのシステム構築に勤しんでいた。
少し集中しすぎたことに気づき、慌ててスマホをスワイプして霞とルビーのセキュリティーに画面を変える。
そして絶叫する。
「え?嘘…!?
どういうこと?
なんでグリンベレーが一緒にいるのよーーーーー!!!!!!!!!!」
その声で眠っていたアナが目を覚ます。
「なんですの?
びっくりするじゃない!?」
浅い眠りを邪魔されたアナが怒る。
リンは答えず、節電の為に切っていたイヤホンの電源を入れる。
『ルビー?その状況はなに?
いや、話せないなら状況なら、あなたの右上にあるカメラを見て合図して…。』
冷静を装って話しかけるが、
『あんた!!今まで何やってたのよ!?
危うく目の前のマッチョに殺されるとこだったんだからね!!』
とルビーが怒鳴りつける。
リンのイヤホンから音漏れしているルビーの怒号に、アナもイヤホンをオンにしてスマホを覗き込み絶句する。
しかし、監視カメラの映像からは緊張感は伝わらない。
むしろランチをリラックスして食べているような印象だ。
あたふたと謝罪しながら言い訳をするリンだが、ある程度の反省が見られた時点で、ルビーが噴き出し笑い始めた。
察したかのようにアナも安堵の表情になる。
『深い謝罪があったから今回は許してあげるわ。』
とルビーが話すとこれまでの経緯をリンに説明した。
『信用できるの?』
リンが問う。
『少なくとも監視を怠る貴女よりは信じれるわ。』
とルビーが意地悪な回答をする。
返す言葉がないリン。
そしてルビーは監視カメラに映らないようにイヤホンをクインに渡した。
『お前が噂の天才プランナーか?
アジアじゃ有名な革命家、フェイ・リン。』
と楽しそうな声色でクインが話し始めた。
しかしリンもすぐに応戦の思考に入る。
『どうして関与したがるの、軍人さん?』
威嚇の姿勢は崩さない。
『そうだな…。
戦場で生まれる友情もあるってことかな。』
あくまでもマイペースのクイン。
『それにしてもあなたには何もメリットがない。
それでわたしを信用させる動機にはならないわよ。』
強気の態度で臨むリンに、
『お前って、つまんねえ人生なんだな。
メリット?動機?
そんなの関係ねえんだよ。
リスクを負ってでも守ってやりたい、それだけで十分。
それにお前に信用されようがされまいが、もうわたしは決めたんだからつべこべ言わずに指示を出せ。』
反論を許さない口調のクイン。
少しの沈黙のあと、
『いいでしょう。
だったら守ってみてちょうだい。
その隠れ家の周りに4人のプレイヤーが確認できた。
それぞれ二人組。
どう仕掛けてくるかはわからない。
わたしの対応ミスから招いてしまった事態ではあるんだけど、いいクイン?これだけは言っておく。
カスミとルビーに何かあったら許さないわよ…!!』
リンの言葉にフンと鼻を鳴らして、クインはイヤホンをルビーに返した。
ルビーは再び耳にイヤホンを装着。
『リン、さっきのは冗談だからね。
私たちもリンに頼りすぎてた。
警戒を怠らないように注意するわ。』
とルビーは優しくフォローする。
それを聞いたリンは、
『ありがとう、ルビー。
ただ、あなたを狙っている女がすぐ近くにいるの。
ジン・ワイズ。
わかるわよね?
そして当時シークレットサービスだったモニカ・ルッチと組んでいる。
ルビー、感傷に流されてはダメ。
自分が生き残る選択を最優先に行動して。
お願い、ルビー。』
リンの問いかけにルビーは、
『大丈夫。ケジメはつける。
心配しないで、リン。』
と力強く答えた。




