汚れ無き世界-7
7/28 12:00 フアレス地下【管理本部】
定例ミーティング
各エリアマネージャーがチャーリー・ベロンを囲み、ゲームが開始してから最初の定例ミーティングが始まった。
「みんなお疲れ様。
トラブルもあったけどなんとか最初の夜を乗り切れた。
引き続きよろしく頼むよ。」
チャーリーの労いからミーティングがスタートした。
メインモニターに現在のプレイヤー情報が映し出される。
「20名のうち6名がリタイアした。
あと二人ぐらいはと思ったが、楽しみは残しておくとしよう。」
チャーリーの口調はジョークのようだが、実際に半分程度にまで減らしておきたかったのが本音である。
なぜなら、昼間は事態が動かない傾向にある。
最初はイケイケの猛者でも、最初の夜に敵の戦力を把握してしまうと慎重になってしまう。
エリア制限を行ってもマッチにまでならないことも多い。
嫌でも次の夜には戦わなければいけないのだから、昼間は様子を見たいというのがプレイヤーの心理であろう。
だから最初の夜にある程度の数まで減らしておきたいのが運営側の思惑である。
「しかしボマーらがGとクインのバトルを邪魔した時に、最初はムカついたけど、結果的にペナルティーを科すことで昼間の注目プレイヤーになりそうな展開にしてくれた。
誰とエンカウントするか…誰を選ぶか…。
楽しみだね。」
チャーリーがマップに映るプレイヤーの位置情報を見ながら嬉しそうに言う。
「さっきマリアに追い払われて逃げてましたよ。」
とF 地区の責任者が言うと、ドッと笑いがおこった。
総括マネージャーから現在の各プレイヤーの状況が説明され、
「クローレ様は優雅にホテルでご休息か。」
チャーリーがホテルのロビーにあるソファーで穏やかに眠るクローレの監視カメラの映像を見ながら鼻で笑って言う。
「気になるのがGとルビーにクインが合流しているんですが、注視が必要かと。」
B 地区の責任者が報告と提案をする。
「ああ、確かに気になるね。
しかも周りにボマーとジェシカ、ジンとモニカもいる。
この一帯のカメラをいつでもライブ配信できるように準備はしておいてくれ。」
チャーリーが笑顔で指示を出す。
「あとまだ一度もバトルをしていないアンジェリカとアリーについては現地監視員に誘導を促してマッチアップさせるように努力してほしい。」
と言った後に、
「そういえば…あのじいさんはなにやってるの?」
と統括マネージャーに聞く。
「ああ、ジョーカー様ですね。
先程現地に入りました。
現在はF 地区で…待機されております。」
と苦笑いで応える。
「もう…マジでいったい何しに来てんだよ。
使えないじいさんをいつまで執行部に押し付ける気だよ。」
チャーリーが遺憾の表情になる。
「まあ、会社のご貢献者ですから。」
と統括マネージャーのフォローも効果がない。
大きなため息をついて、
「とにかく気を抜かないで引き続き頼むよ。
あと、しっかりシフト管理もね。
メリハリを大事に。
スタッフたちにも楽しんで仕事してもらえるように、我々管理職が気をくばってくれよ。
今はなんか言ったらハラスメントとか騒がれちゃうからね。
それでは解散。
次の定例ミーティングは6時間後です。」
チャーリーが会社の幹部らしくコンプライアンスを話してからミーティングは解散された。
この時、チャーリーの頭の中は今夜のメインディッシュになるようなマッチングを思案していた。
【沈黙の昼間】をどう盛り上げるか…ゲームマスターの手腕が試されるところである。




