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【休載中】イノセントワールド  作者: 泉水遊馬
Chapter 8
71/121

汚れ無き世界-5

カスミは短刀、ルビーは38口径のハンドガンを一丁と極めて軽装備で隠れ家を出た。

すでに街は人だかりに溢れ、活気よく人々が活動している。

この状況で重装備で街を歩くには目立ちすぎる。

それにプレイヤーの中にルビーほどのスナイパーはいない。

そう判断して最小限の武器だけ持ちA 地区エリアのメインストリートを進み、B 地区エリアのベーカーリーに向かう。

昨日の昼に一緒に食べたホットドッグがおいしかったので、カスミの提案にルビーが笑顔で承諾したのだ。

そんな二人に声をかける女。

「ヘイ!!ガールズ!!」

酒場の前でビール片手にクインが二人を呼び止める。

「クイン!?」

驚いて急に足を止めるルビー。

手をつないでいるカスミは前のめりに倒れそうになる。

挿絵(By みてみん)


「カスミ。

すり傷程度でよかったな。」

クインがカスミに穏やかな口調で言う。

カスミもニコッと笑顔で返し、

「はい、クインさんもお元気そうでよかったです。」

「結局、あいつら逃がしちまった。」

と、楽しく会話を始めるカスミとクイン。

そんな二人を不思議そうな表情で見ているルビー。

カスミとクインが、一緒に爆発した瞬間にカメラやお通信が遮断されて、二人のその後の様子をルビーは知らない。

だから何とも言えない友達感に戸惑う。

そんなルビーに視線を向けたクイン。

「お前がアンドロメダのスナイパーだな?

意外とちっこいんだな。もっとゴツイ女を想像してたぞ。」

嬉しそうに言うクインに、

「貴女って凄く強いんですってね。

さすが現役のグリンベレー。カスミと近距離で対等に戦うなんて素晴らしいわね。」

ルビーも穏やかに返すが、内心はリンへの怒りで今にもイヤホンに怒鳴りつけたい気分だった。

クインに接近しているなら警告を出すはずである。

(リン!!なにやってんのよ!?)

しかし、コミュ障のカスミが笑顔で接することができるクインに、早急な危険は感じない。

クインぐらいの技術があればこの雑踏に紛れて、自分たちを殺すことは可能である。

ましてやリンによる周辺のセキュリティーに完全に頼ってしまっている状況で、まったく警戒のない精神状態であるのも反省すべきだとルビーは感じた。

「で、お前たちお手手つないでどこ行くつもりだい?

昼間はおとなしく休息しておけよ。」

昼間から酒場で堂々とくつろいでいるクインの言葉に、思わず笑ってしまうルビー。

「カスミが言う通り悪い人間ではなさそうね。

まあ、私たち悪人から言われても嬉しくないでしょうけど。」

ルビーの言葉に、

「似たようなものさ。

しょせん軍人て言ったって、戦場にいけばお前たちとやってることは一緒だ。

どこの組織に所属しているのかって違いだけだよ。」

と真面目な顔で答えるクインだが、照れ隠しでカスミの頭をナデナデしてごまかしている。

「ランチを買いにきたんです。」

と答えるカスミ

突然、クインがカスミの髪をクンクン匂いだした。

「カスミ、もしかしてシャワーとか浴びた?」

クインの問いにカスミはコクンとうなずく。

「どこで?」

さらにクイン。

「今、隠れている空き家で。」

と、カスミ

クインは少し間を取ってから、

「わたしも浴びさせて。

お願い!!キュートなカスミちゃんとルビーちゃん!!」

と高い声で懇願した。

「うん、いいよ。」

カスミがあっさりと快諾。

慌てたのはルビーだ。

「ちょっと!?カスミ!!

それはいくらなんでも…!!」

と諫めに入るが、

「ルビー。

あの爆発のあと、クインさんはわたしの傷を心配してくれて、飲み物まで持ってきてくれたの。

お願い。この人は戦いの場以外では人格者。

わたしたちを騙したりしない。

あの時のお礼にシャワーを貸してあげて。」

カスミが揺るぎないまっすぐな瞳でルビーを説得する。

「カスミ…。わかったよ。

クイン。今はあなたを信じる。

カスミに優しくしてくれたなら、私もお礼をしなくちゃ。」

ルビーがカスミに優しく返事をして、クインに了承の意を伝えた。

その言葉にクインは、

「お前たちはいいコンビだな。

前進あるのみのカスミを、ちゃんとルビーがコントロールしている。

まずリスクを考えることは大切。

だからまず止めたルビーは間違っていない。

恐らくカスミはドン引きするぐらい真っすぐな性格なんでしょ。

それをルビーが認めつつ慎重な判断を下しているんだな。

お互いをリスペクトしている。

信頼…いや、愛だな。

フ…ちょっと待ってな。」

クインは笑みを浮かべながらそう言うと、酒場の二件隣りの店に入っていった。

「確かに人格者ね。」

クインを待つ間、ルビーがつぶやく。

「うん、本当は凄く優しい人だと思うんだ。」

カスミが同意する。

二人で顔を見合わせてなぜだか笑みになる。

そしてクインが大きな紙袋を担いで戻ってきて、カスミにドンと渡した。

「あそこのケバブサンドは絶品なんだ。

たくさん買ってきたから腹いっぱい食え。

あ、ドリンクも途中で買ってやる。

じゃあ、行こう。」

とクインが二人の間に入って歩を進めた。

ニコニコ顔のカスミと冷静を保とうと努力するルビーがそれに続いた。

挿絵(By みてみん)

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