汚れ無き世界-1
7/28 6:40 F 地区
ペナルティーの当事者であるボマーとジェシカが沈痛な表情でたたずんでいた。
ペナルティーとは、故意に一般人への攻撃などのルール違反を行った場合、プレイヤー全員のスマート端末に位置情報を6時間開示される。
その時間内に、最低一人の参加者とバトルを行い勝たなければならない。
時間が過ぎても条件が満たされなかった場合はマイクロチップにて即ゲームオーバーとなる、というものだ。
「なんで二人同時なんだよ…!?」
ボマーが端末を睨みながら怒りを露にする。
「敵も殺せず、ペナルティーだけを負うなんて…最悪だな。」
ジェシカは自分にあきれている様子。
「ジェシカ!!あんたこの状況わかってる!?
どっちかひとりなら協力して誰か狙えばいい。
でも二人ともだとそういうわけにもいかない!!
罠張って誰かを待ってる余裕がないんだよ!!
こっちから仕掛けて時間内に二人、それも別々に殺らないといけない。
それも動きのない昼間に、わたしとあんたの位置を晒されながらだぞ!!」
興奮してまくしたてるボマーに、
「いや、ちょっと待て。
わたしの仕掛けでお前の手りゅう弾を爆発させた。
本来ならペナルティーはどっちかでいいはずなんだ。
いや、むしろ仕掛けたわたしだけがペナルティーを受けるべきなのに二人とも対象にされた。
てことは…別々ではなくとも、同じように二人で仕掛けてやってもペナルティー解除の条件をクリアできるんじゃないか?
もちろん二人を殺らないといけないのは変わらないがな。」
ジェシカの憶測で発した言葉にボマーは、
「それがホントかわからないだろう!?」
と怒鳴り返す。
ジェシカは大きくため息をついて、
「そうか。わかった。
じゃあ、今この場でわたしを殺せ。
そしたらお前はペナルティー解除だ。
手っ取り早くていいだろう?
どうせわたしは、この戦場では一人では生き抜けない。
だったら早く楽にさせてくれ。」
と低い声で言い放つ。
ボマーは勢いよくジェシカの襟を締め上げ、
「ジェシカ!!
二度とそんなこと言うな!!
わたしだって一緒なんだよ!!」
と激しく言い聞かせた。
「じゃあ、最後まで一緒に戦ってくれるか?」
穏やかに聞くジェシカに、
「最後まで腐れ縁か…。
いいだろう。
一緒に攻撃的な作戦で乗り切ろうか…。」
ボマーが脱力した表情で答える。
そして二人は開き直ったかのように吹き出し笑い出す。
最初からこの結果になることはお互い理解していた。
それだけ共に任務をこなしてきた絆がある。
二人は迅速なペナルティー解除を目指し敵の捜索を開始するため雑踏へと飛び込んだ。




