ハイルブロンの怪物-1
7/28 6:30
生き残っているプレイヤー全員の端末から一斉にブザー音が鳴る。
【ペナルティー発動
ボマー並びにジェシカ
フアレス市民3名の殺害を確認
ペナルティータイムは現時刻より6時間とする】
リンがイヤホン越しに、
『手りゅう弾が多すぎたのよ。
シザー用のトラップだから確実に仕留めるためだったんだろうけど、あんな路地で使う量じゃないわ。
近隣の家まで破壊しちゃうんだから。』
と、あきれた声で話す。
それを一つしかないイヤホンに頬っぺたをつけ合ってシェアする霞とルビーは体も寄せ合い少しいちゃつきながら聞いていた。
『それにしてもカスミさん、あのクインを相手に素晴らしい戦いぶりでしたわ。』
アナの労いに霞は、
「なんていうか…凄く強い人だけど、凄くいい人だった。
わたしみたいにただの悪人じゃなくて、なんか意識が高いプライドを持って戦っている感じ。
あ、リンさんがあの時わたしを止めてくれなかったら死んでた。
ありがとう、リンさん。」
とつぶやく。
リンは、
『お願いだからムチャしないで。』
と優しく答える。
そしてルビーが、
「まあ、クインは現役の職業軍人だから、私たちに対しての悪意はない。
恐らくは志願じゃなくて大統領令で召還されてる。
国家命令。カスミと一緒ね。
それにカスミは悪人じゃないよ。
血の宿命に従っているだけ。
そんな風に自分の人生を否定しないで。」
と諭すように語りかける。
そこにリンが割って入り、
『はいはい、とりあえず今は休息しよう。
昼間はよっぽど理由がない限り動きはない。
恐らくボマーとジェシカは誰にも相手にされずに、最終的には殺し合う。
どっちかがペナルティー解除の条件を満たせばいいんだから。
そこから200メートル行ったところに空き家があるんだけど、その場所なら視界も開けてるし退路もある。
あ、真水だけどちゃんとシャワー浴びれるから、武器屋によって着替えを持っていくのよ。』
と、安全地帯に誘導し始めた。
しかし、
「リン!!
まだ話は終わってないんだよ!!
あの怪物はなんなの!?
核だの磁力だの意味わかんない!!
ちゃんと説明して!!」
とルビーの怒号。
「わたしもクローレの話を聞きたい。」
霞も加わる。
『ああ…そうね。
ちょっと長くなるけど『ある少女の話』を聞かせないといけないわね。』
とリンの声のトーンが低くなり、それがなぜか緊張感を増していく。
『あらあら、リンたらもったいぶって。』
とアナが茶化すがリンは続けて、
『それでは悲劇【ハイルブロンの怪物】…世にも奇妙な物語の開幕です…。』
と言って話を切り出した。




