月下の約束-13
7/28、5:10
リンが焦った表情でスマホの画面を何度もスワイプしている。
「ダメ…一帯のカメラが爆発で壊れてる。」
霞の信号を感知しているから生存している事はわかっている。
しかしどのような状態で生存しているのかがわからない。
「通信もダメ。恐らくイヤホンが破損してる。」
リンの手元を固唾をのんで見守る事しかできないルビー。
「ん?グリンベレーがカスミから離れていく。
どういうこと?
あ、カスミも動き出したよ。」
スマホの画面に映されるマップを動く複数の赤いポイントを見ながらリンが分析している。
「どれがカスミなの?」
とルビーが聞くのは当然だ。
リンは霞の進路を予測して監視カメラの映像に切り替える。
この街ではありふれた街並みに少し疲れた様子で歩く霞が映し出された。
それを見たルビーが悲鳴を上げる。
「カスミ、怪我してる!!血も出てる!!
どうしよう!?どうしよう!?
ねえリン、カスミはどこにいるの?」
「ここはG 地区の南。B 地区の境目あたりね。」
リンも霞の姿を見て心配そうな表情で答える。
「あてもなくって感じじゃなさそうですわね…。」
アナがチラッと画面を見て言う。
それを聞いたルビーの表情が険しくなる。
「リン、ここからD 地区に行ってB 地区への境界線まで行く安全なルートを探って!!」
とルビーが時計を見ながらリンに問う。
「お二人だけが知っている場所がございますのね。」
アナが察したように優しく言ったあとリンが、
「了解。一旦お別れね。
今ならこのルートだと誰にも会えずにたどり着けるわ。」
と、端末のマップを指さしてルートを伝える。
「ありがとうリン、そしてアナさん。」
ルビーはそう言うと一気に駆け出しB 地区付近まで向かった。
そして6:00を迎え制限エリアがすべて解放された。
それを確認して霞はB 地区に足を踏み入れる。
ルビーも少し遅れてエリアを跨いだ。
目指すはB 地区の32地点。
二人がこの街で再会した高台。
お互いが相手に会う為に真っ先に想い浮かんだこの場所に先にたどりついたのは霞。
そして朝日を見ながら待ち人の到着を願う。
速い足音が聞こえ近づいてくるのがわかる。
そのリズムが心地よく霞に安堵を与える。
息を上がらせ肩で呼吸するルビーの姿が視界に入った時、発する言葉はなかった。
ゆっくりと距離を縮めて熱い抱擁でお互いを労う。
必ず生きて会うという約束が果たされ、怒涛の夜を乗り越えた。




