月下の約束-9
「あーーーーーー!!もうダメダメ!!
なんであの娘はすぐ戦っちゃうの!?
全然こっちの話を聞いてないし!!
ルビーなんとかしてよ!!」
クインの強烈なパンチが霞に入った瞬間をスマホで見ていたリンが絶叫に近い声を出す。
「さっきも言ったでしょ?
カスミは、私たちと違って選んでこの世界に入ったわけじゃないの。
人生の過程の中で、私は職業として選択し、リンやアナさんは大義の手段として銃を持っている。
でもカスミは生まれる前から刀を持って戦う運命。
選択の余地なんてない。この世界にいるのが当然の人生なわけ。
だから刀を握ったカスミが戦う理由自体が存在しないの。」
そう言うルビーの表情も心配のあまり不安げである。
だがこれが真実である以上しかたがない。
しかしリンも引き下がらない。
「わかるよ!!さっき聞いたからわかっているの!!
だけどコレを見て。」
と言ってスマホをスワイプしG 地区のマップを拡大する。
「カスミとグリンべレーの30メートル離れたところに二人並んで戦いを見てる。
ボマーとジェシカ。
わたしが心配しているのはグリンベレーだけじゃない!
なんか企んでるのよ、この二人は!!
ルビー!!あなたならわかるでしょ⁉
同じアンドロメダの工作員なんだから!!」
スマホのマップに並ぶ二つの赤いポイント。
唇を噛んでそれを見ているルビーに、
「間違いなく仕掛けていますわね。爆弾を?」
とアナが問いかける。
この時、ルビーの思考はアンドロメダでの二人の存在。
ほとんど面識がないのである。
彼女たちが段取りを済ませてからがルビーの仕事だ。
その経験を踏まえて、どういう傾向や特性を二人が持っているのかを必死に考える。
「リン、カスミの画面に戻して。」
ルビーが切り替わるカメラの動画に目を凝らす。
霞の呼吸が安定してきている。
それを待つかのようにクインは仁王立ちで霞を見下ろしている。
だがルビーが凝視しているのは戦っている二人ではなく、それ以外のすべてである。
「通信機器が持ち込めないから遠隔での起爆は考えられない。
どこかになにかがある…。
リンも一緒に探して!!
お願い、貴女の洞察力が頼りなの!!」
ルビーの言葉でリンの表情が一気に引き締まる。
スマホの小さな画面に顔を引っ付けてルビーとリンは見えないあるはずのなにかを探すことに集中した。




