天才の誤算-9
緋色の瞳で睨みをきかす霞。
上段に刀を構え、ジリジリと間合いを詰める。
対するシザーハンズは右手の鉄爪を収納し、腰のハンドガンに手を伸ばす。
今にも踏み込みそうな二人の距離。
「まずい!!シャロンが本気になってる!!」
ルビーがスマホの画面を見ながら焦りを見せた。
「ちょっとルビー!?何とかカスミを離脱させてよ‼」
リンの悲痛な叫び。
『カスミよく聞いて!!
シャロンがその態勢になったってことは、カスミを認めたって証拠!!
今回はここまでにしよ。』
ルビーの問いかけに、
「うん、わかった。もう一太刀だけ振るったらこの場から離脱する。」
と静かに答える。
その姿を見たシザーハンズは、
「通信しているのか…見逃せないな…。」
と少し表情を緩ませて言う。
と同時に左の鉄の爪が光速の速さで霞の腹部に迫っていた。
しかし間合いに集中していた霞も同じタイミングで動いていた。
霞の上段の太刀が鉄の爪を払うように振り下ろされる。
だが勢いとパワーが違う。鉄の爪の進路は変わらない。
だが霞の狙いは振り払う事ではなく、その勢いとパワーを利用して大きく後方へと飛び、距離を置くことにあった。
そこで霞は一礼をして素早く路地に姿を消した。
シザーハンズは追いかけない。
いや、追いつけない事がわかっていた。
自分の鉄の爪をちらりと見て、
(アレを交わすなんて…面白い娘。)
と、口元を緩ませた。




