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【休載中】イノセントワールド  作者: 泉水遊馬
Chapter 5
34/121

天才の誤算-2

2050/7/27,23:50


カスミはワイヤレスイヤホンの電源を入れる。

『カスミ‼聞こえる⁉』

真っ先にルビーの声が入ってくる。

「うん、大丈夫‼」

カスミの返事を確認して、

『揃ったわね。みんな端末で自分の位置を把握して。』

とリンが指示を出す。

挿絵(By みてみん)

『まずC地区エリアのカスミはスタートと共にひたすら南下。

なんせ私たちから一番遠い。

誰かに遭遇してもあなたのスピードなら振り切れるはず。

合流を最優先して!!』

リンの言葉に、

「了解。」

と力強く答えるカスミ

『よし、いい!!

D地区エリアのルビーは、H地区エリアでカスミと合流。

わたしとアナはI地区エリアで合流。

その後、動向を見ながら四人で集まる、ここまではいい?』

リンが早口で確認も兼ねたスタート後のプランを口にする。

『リン、わたくしが行くまで死んではいけませんよ。』

アナが本気ともとれるジョークを入れる。


開始3分前。

『さあ、そろそろね…カスミ、すぐに会えるから!!』

とルビーの気合いが皆の緊張感を上げたところで、参加者全員の端末から、けたたましいアラーム音が鳴る。

もちろん全員が確認する。

【At the same time as the start, A, B, and C districts will become restricted areas.

Players starting from the area must move to the valid area by 0:10.

(開始と同時にA・B・C 地区エリアを制限区域とする

当該エリアからスタートするプレイヤーは、0:10までに有効エリアへと移動すること)】

とのメッセージが入る。

「わたしのエリア…。」

カスミが呟く。

『カスミ!!急いでこっちに…!!』

とルビーが絶叫するが、

『ダメ!!間に合わない!!

カスミのホテルから南にエリアを移動するのに10分は短い…!!』

とリンが止める。

『じゃあ、どうするの!?』

ルビーの怒号に、

『急かさないで!!

クソ…想定にはあったけど、まさか最初から北と南で分断してくるとは…!!』

リンが怒りの声を発する。

そこにアナが一喝を入れる。

『二人とも冷静におなりなさい!!

すでに行動すべき選択肢は決まってしまっています‼

カスミさんはひとまず北へ、我々は迅速な合流、リンはカスミさんの安全を最優先にフォロー!!

ルビーさん、例えリンやわたくしたちと手を組まずにお二人で挑んでも、回避することはできない状況であることは気づいてらっしゃるはず。

むしろリンがこの街に張った情報網でカスミさんをサポートできます。

とにかく落ち着いて行動いたしましょう!!』

的を得たアナの言葉にルビーは唇を噛む。

確かにリンの責任ではない。アナの言う通り、手を組まずにカスミと二人だけであった時もまったく同じ状況になったに違いない。

『カスミ!!必ず会えるから…!!

それまでがんばって…!!』

絞りだした声が悲しく響く。

それにリンが続く。

『カスミ‼北側にはシザーがいる。

位置情報は把握してるから。

わたしがちゃんと回避できるよう誘導する…信じて…‼』

二人の必死の言葉に、

「ルビー、大丈夫。わたしは死なない。」

カスミの冷静でいて重い言葉。


そして…

【ビーーーーーーーーーー】

と端末からブザー音が鳴り響き、すべてのプレイヤーが行動を開始。

カスミはゆっくりと北へと一歩を踏み出した。

挿絵(By みてみん)

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