アンドロメダ-6
二人でホテルに着き、部屋に入るとすぐにコンシェルジュのクロエがやってきた。
「カスミ様、おかえりなさいませ…、ってルビー!?」
同行してきたルビーの姿に驚くクロエ。
「クロエ、久しぶりっ!!」
ルビーの明るい姿に、
「二人とも…会えてよかったね…。」
とクロエは安堵の表情を見せる。
心を開いている三人が揃えば話も盛り上がる。
ルビーがふてた顔をして、
「私のコンシェルジュってどこの部署?
クロエはあの人のこと知ってる?
全然しゃべってくれないし楽しくなーい。」
と愚痴れば、
「たしか南方進撃部隊の事務方…武器調達係の人じゃなかったかしら。
アンドロメダ所属の参加者は馴れ合いを防ぐために、面識のない部署や地域からの職員をつけてるの。
マリアならルビーのコンシェルジュとは顔見知りのはずよ。」
と楽し気に答える。
「クロエさんのアドバイスのおかげでルビーと会えたんだよ。」
霞が嬉しそうに話すと、
「やっぱりクロエが良かったーーー‼」
とルビーが駄々をこねるふりをして笑っている。
ただ楽しい時間は長くは続かない。
この夜が事実上最後の安らぎのひと時なのだから。
突然、クロエが小声で、
「それで?なにかいい方法を二人で考えたの?」
と聞く。
ルビーはまったくの躊躇なくクロエにすべてを話した。
霞もそれを止めない。
「マイクロチップをとって離脱する?」
驚愕の作戦を聞いたクロエの眉間は厳しい。
「まあ、どこまでうまくいくかはやってみないとわからないけどね。」
とルビーが言えば、
「最悪は二人で…ね?」
と霞が優しくルビーに確認する。
二人で生き残るか、共に死ぬか。
クロエはルビーと霞から底知れぬ決意を感じて胸が熱くなる。
「私にできる事は?」
とクロエが真剣な眼差しで二人に問う。
すると霞は首を横に振り、
「クロエさんを巻き込めない。
たとえうまく離脱できても、それから先も逃亡生活になります。」
と優しくも毅然と言う。
「このことは内緒だからねー。
他の人に言ったらダ・メ・よ。」
ルビーが軽いノリでフォロー入れる。
するとクロエはスッと立ち上がり、
「言うわけないでしょ‼」
と声を荒げた。
驚いたルビーは、
「あ、ごめんクロエ。そんなつもりじゃないの。
信じてるから話したんだよ。だから怒らないで。」
と自分のジョークで怒らせてしまったことを詫びる。
「わかってる‼怒ってない‼」
と思い詰めた表情でさらに声のトーンを上げた。
そして、
「私も一晩、冷静になって考えます。
明日の朝、朝食で会いましょう。
では…おやすみなさい。」
そう言って部屋を出て行った。
「カスミどうしよう…。
クロエを怒らせちゃった…!!」
ルビーが動揺している。
だが霞は冷静に、
「クロエさんはルビーに怒ったんじゃないと思う。
凄く優しい人だね。あの人に会えて本当に良かった。」
と静かにしみじみと答えた。
ルビーもその言葉の真意を理解しコクンと頷いた。
その夜、二人は離れることなく抱き合って眠った。
戦い前夜の静寂。
2人が一緒なら怖いものはない。
そんな寝顔のルビーと霞であった。




