アンドロメダ-2
2050/7/26 PM
フワレス大聖堂
まだ新しく近代的な大聖堂には、多くのカトリック信者が集まっていた。
その中で跪き、祈りを捧げる長いブロンドをなびかせた女の姿があった。
そこへタバコをふかしながら近づくガッチリした筋肉質な女が、
「隣で祈ってもいい?」
と声をかける。
「そのタバコを消してくれたら許可するわ、クイン。」
ブロンドの女が目を閉じたまま答える。
「神の前では平等なはずなのに…。厳しいわねモニカ。」
そういうとクインはタバコを地面で踏んで消し、モニカの横に跪いた。
静寂の中、ステンドグラスから入る青い光が、二人の祈る姿に長い影を作っている。
少しの時間をおいて、
「陸軍レンジャー部隊出身で元シークレットサービスのあんたが、なぜこんな大会に出てきたの?
今じゃ、アメリカ政府公認の民間軍事会社でバリバリ活躍してるみたいじゃない?」
クインが問う。
「ちょっと入用ができたのよ。
クインこそグリンベレーはいつ辞めたの?」
今度はモニカが聞き返す。
「辞めちゃいないわよ。大統領命令で無理やり参加。
もう最悪だわ。でもまさか本当にこんな大会が行われているとは…。
都市伝説とばかり思ってたわ。
あんたは知ってたんでしょ?
なんせ前の大統領のお気に入りだったんだから。」
クインがため息を吐きながら言う。
「ええ。なんなら前回の大会は、大統領を囲んでみんなでホワイトハウスで見てたわ。
だから忠告してあげる。古い付き合いだもの。
クローレ・プルシェンコに遭遇してしまったらとにかく逃げなさい。
あれはもう人間じゃない。きっとサイボーグかなにかよ。」
モニカの少し強い口調に、若干の緊張感を覚えたクインが問う。
「クローレ・プルシェンコって前回の優勝者で、ロシア大統領の横にいつもいる女将校よね?
わたしなら勝てるとか思っているんだけど?
むしろ優勝しか考えてないんだけど?」
その言葉を聞いたモニカは、
「クイン、ひとつ聞くわ。
50口径のデザートイーグルを反動なしで撃てる?
もちろん片手で、当然連射で。どう?」
と眉を上げて問う。
ピストルやライフルを撃った瞬間、反動で銃が射手の方に向かって激しく動く。ハンドガンなら撃った手が上に上がる状態、それがリコイルだ。
「デザートイーグルでリコイルなし?
そんことできるのはゴリラぐらいじゃないの。」
と茶化した返事をするクイン。
「あなたの元同僚のトムはそれでハチの巣になってたわよ。」
モニカの言葉に絶句するクイン。
「まあ、クローレ・プルシェンコの強さはそれだけじゃないけど、これだけでもわたしが恐れる理由がわかるでしょ?
もちろん生き残るには避けれない相手ではあるのは事実。
お互いにね…。
健闘を祈っているわ。」
そういうとモニカは立ち上がり、軽く手を挙げ出口へと消えた。
(あのトムが…。)
残されたクインは呆然と祭壇を見つめていた。




