アンドロメダ-1
2050年7月26日
シウダー・フアレス郊外、地下・管理本部
「さあ、みんな。今日も監視と調整を頼むよ。
本番まで時間が迫っているからね。」
チャーリー・ベロンの言葉に数百台あるPCでスタンバイしていた監視員の腕が激しく動き出す。
この管理本部の責任を任されるチャーリー・ベロン。
アンドロメダ社のCEOの息子であり副社長として、前大会から演出するゲームマスターの采配を行っている。
この管理本部は街中の5万超の監視カメラをエリアごとに数十人の監視員が参加者の動向をチェックし、ゲームマスターの判断でギャンブル側の参加者へとまさにゲーム感覚で配信する。
「マスター。ルビーとGがグラシーニョホテルに入りました。
おそらくこのホテルにいるアナと、先に入ったリンの二人と合流する模様です。」
D地区担当からの報告がチャーリー・ベロンに伝えられる。
「ほう…そこのコンビ同士が組むとはおもしろい。
てっきりルビーとGは最後は二人で死ぬと思って、たいして気にしていなかったが、リンが絡むと油断できないな。
あの女は戦闘能力は低いが、ゴキブリ並みの生存本能を持っている。
今後も注視して監視してくれ。」
と指示を出す。
「はい、現場監視員を配置しておりますので、状況は随時報告可能です。」
細かく頷くチャーリー・ベロンのその表情には笑みが見え、心底この大会を楽しんでいる。
「クローレとシャロンの位置は?」
チャーリーの問いに、各エリア責任者が確認作業に入る。
「クローレはB地区のホテル自室より、動きはありません。」
即座に報告が入る。
「シザーハンズはミリアと共にF地区のホテル周辺パブにて確認。
メインモニターに映像出します。」
アンドロメダ所属の二人がカメラ目線でメインモニターに映し出された。
「ふん、同期で最後の宴という事か。
シャロンめ…。挑発のつもりか⁉
相変わらず生意気な女だ。
だいたい親父はなんであんな女を執行部に格上げしたんだ…!?
イラつくぜ、まったく…!!」
チャーリーが悪態をついている最中も、報告がどんどん入ってくる。
「囚人参加者たちが、それぞれホテルに隔離完了です。」
この大会には懲役300年越えの凶悪犯も含め4人が参加している。
もちろん優勝すれば恩赦が与えられ無罪放免、新たな身分を与えられ大金を手に入れ、野に放たれる。
参加者確保のため、ジェームズ・ベロンが用意した本物の悪人である。
「よし、拘束具は開始時間まで外さないように現地監視員に強く言っておくこと。いいな?」
と念を押す。
「とにかくみんな気を抜かず必ず成功させよう!!」
チャーリーのひと声に、よりその場の緊張感が増していった。




