復讐の女神-7
一区切りついたところで、
「あら、私としたことが。
もうランチタイムをだいぶ過ぎてしまったではありませんか!?
すぐにランチをルームサービスで届けさせますね。
お腹すきましたでしょう?」
アナが気を利かす。
黙りこくって伏し目で落胆する霞。
届いた食事にも手を付けない。
優しく背中をさするルビー。
さすがのリンも自分で決断を強いた手前、かける言葉が見つからない。
沈黙の食卓の中、アナが霞の肩に触れ優しく話しかける。
「カスミさん。
私もお兄様の勇姿を拝見しておりました。
誰とも群れず、傷つきながらたったひとりで最終決戦にまで残ったあの姿に感動したことを未だに覚えています。
だから、あの方の妹様と一緒に戦えることを大変嬉しく思っています。
本当にご自慢の妹様でしょうね。
自分の仇を討つために、死を覚悟でこの地に来てくれたのですもの。
きっと血の滲むような鍛錬をしてきたのでしょう…。
でもね、カスミさん。
死に急ぐことが復讐ではありません。
リンの考えた通りの状況になるとは限りませんわ。
もしかしたら神様が貴女にチャンスを与えるかもしれません。
だから今は『生きる』ことを優先に考えてはいかがかしら?
勝手なことを言ってごめんなさい。
でもお兄様もきっとカスミさんが生きてこの地を出ることを望んでいると思います。
だって私も大切な人が自分のために死を選ぶことなど望みませんもの。」
慈愛に満ちた声で語り掛けるアナ。
すると霞は、
「うう…う…う゛わーーーん…おにいちゃーーーん…!!」
と、まるで子供のように大きな声で泣き出した。
慌てて抱きしめるルビー。
泣きじゃくる霞の髪を撫でて落ち着かせる。
そして思いっきり泣いた霞はスッキリした表情になり、
「ありがとうございます、アナさん。
リンさんの作戦通りに進むようがんばります。
でも、クローレが生き残った場合、それを神様からもらったチャンスだと思って戦いを挑みます。」
と力強く言い放った。
「うん、立派だよカスミ。」
ルビーが抱きしめる力を強めて称える。
これにリンも慌てて加わる。
「そう!カスミ!
いいよ!
うん!
すごくいい!
さ、さあ、お料理食べよう!
このエビ、もうプリップリ!
お酒は?
飲んじゃう?
テキーラ頼んじゃう?
あ、ジャパニーズ酒の方がいいのかな?
そうだよね!
うん、そっちにしよう!」
狼狽えが露見しまくるリンの姿を見て一気に場が和み、笑いの食卓へと変わった。
ルビーも、
「さて、ご飯食べたら明日のスタートまでにすべきことをまとめましょう。
四人で相談しながらね。」
と言い、完全に警戒を解いている。
過酷な戦いの前の、ささやかではあるが楽しい時間となった。




