復讐の女神-5
「さて、話はまとまったかしら?」
頃合いを見て部屋に戻ったリンが、ルビーと霞へ交互に視線を合わせる。
アナもそっと隣に座り答えを待つ。
「答えなんてとっくに出ているわ。
ただカスミと意思疎通をしたかっただけよ。
話を進めましょ、リン。」
ルビーは先程と違って温和な態度で答えた。
しかし眼光は変わらない。
「ありがとう、ルビーさん、カスミさん。」
アナが目を細くして喜ぶ。
「それじゃあ、作戦会議と参りましょう。
まず大まかなルールは理解していると思うから、その辺は省略して進めるわよ。」
リンの言葉に霞の顔も引き締まる。
ルビーは目を閉じて腕組みをしながら静かに聞いている。
「まず、前回の大会の流れの統計をすると、開始直後から夜明けまでの時間で6割に人数が減っている。」
リンがお手製のスマホを見ながら説明する。
「前回の統計って…どうしてそんなことがわかるの?
極秘の大会なのよ?」
もちろんルビーが噛みつく。
「わたし見てたもの。」
簡単に答えるリン。
「はぁーーー!?見てたですって?
私たちアンドロメダの人間ですら見ることができないのに、どこで見たっていうの?」
ルビーの驚きの姿を見ながらリンはアナを指さす。
「アナの家で見てたのよ。意味わかるでしょ?」
その言葉でルビーは納得したようで、
「そう言う事ね。わかった。続けて。」
と再び沈黙モードに戻った。
だがこの場でひとりだけ理解できない霞がアナの顔を凝視する。
それを察したアナが、
「私の母が、いわゆる向こう側の参加者でして、リンと私もその場で配信を見ていました。」
と、説明を加えると、
「皮肉な物よね、5年前は見ている側だったのに、今は見られる立場。
滑稽でしょ?笑えて来ちゃうわ。」
リンも鼻で笑い補足する。
「それじゃあ…兄の最期も見てたんですか?」
霞が恐る恐る問う。
「ええ、素晴らしいサムライだったわ。」
とリンが素直に答える。ジワリと涙が浮かぶ霞。
「カスミのクローレへの復讐心もすべて知ったうえで誘ってきたのよ。」
とルビーが冷たく言う。
するとアナが優しく反論する。
「確かにご事情は知っておりました。
しかし、それがお誘いするきっかけではございませんの。
共に生き抜く精神の持ち主ではないと、共闘はできません。
おふたりの深い繋がりこそ私たちが求める仲間です。
そこだけは信じてくださらないかしら…?」
胸に手を当てて誠意を伝えるアナ。
するとルビーが霞の肩をそっと抱いて、
「大丈夫?落ち着いて。」
と諫めるが、霞は首を横に振って、
「兄を褒めてくれて…ありがとうございます。」
感謝を口にした。
少し静かな時間を感じた後、
「このまま話を続けてもいい?」
とリンが聞く。
霞は力強く頷き、その姿を見たルビーも安堵の表情でゆっくり頷いた。




