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【休載中】イノセントワールド  作者: 泉水遊馬
Chapter 3
16/121

復讐の女神-1

7/26 AM9:15

D地区エリア

グラシーニョホテル。ルビーの部屋。


「寝坊したーーー!!」

と、飛び起きるルビー。

その声でカスミも目を覚ます。

寝ぼけまなこカスミに、

「早く支度して!!」

とルビーが急かす。

「約束はお昼からじゃなかったっけ…?」

まだ完全に目が開かないカスミ

「朝食のブッフェが10時までなの!!

昨日からロクなもの食べてないでしょ?

しっかり食べてベストコンディションにするの。さあ、起きて!!

髪をとかしてあげるから!」

ルビーの言葉を聞きながら、カスミは再び眠りの世界に入ろうとしていた。

「ねえ、カスミ‼見て!」

ルビーの声に薄っすらと目を開けるカスミ

するとルビーは黒いワンピースを二着持って見せつける。

「おそろい!?」

カスミの眼がパッチリまんまるになり体を前のめりにさせてルビーに向く。

「大丈夫よ、ワンサイズ小さいから。」

と、笑顔で茶化すルビーにカスミは怒ったフリして喜んでいた。

挿絵(By みてみん)


二人はブッフェで朝食をかきこみ、今いるD地区エリアからH地区エリアに向かい、アメリカとの国境沿いを歩く。

挿絵(By みてみん)

高いフェンスで仕切られ、アメリカ側を見ると銃を持った国境警備隊の姿が多数見える。

挿絵(By みてみん)

「こっちとあっちじゃ別世界ね。」

ルビーが呟く。

うなずカスミ

するとその後方から女の声がする。

「この誰にでも超えられそうなフェンスのどちらかにいるってだけで人生がまったく違うものになる。

ここに集められた私たちと似たようなものよね。」

その心地いい声色の方へ振り向くルビーとカスミ

「あ、マリア。」

ルビーが笑顔で声をかける。

挿絵(By みてみん)

金髪をポニーテールでまとめた可愛い容姿。

「チャオ、ルビー。

そして今もっともホットな殺し屋Gさん。」

満面の笑顔で応えるマリア。カスミが軽く頭を下げる。

「カスミ、紹介するわ。私と同じアンドロメダ所属のマリア。

アンドロメダ前線進撃軍の可憐なるリーダー。

でもいつもフレンドリーに接してくれるリーダーシップの持ち主。

アンドロメダ最強の女戦士!

通称ポニーテールの悪魔!

最高にクールな子なのよ!」

と、ルビーがカスミに派手な口調で紹介する。

「何言ってるのよ。

女の上位傭兵のランクじゃシャロンが執行部に上がったあと、ルビーがずっとナンバーワンじゃないの。もしかして嫌味?」

とマリアが茶化す。

「違うよマリア。私はソロで貴女は部隊を率いてる。

そして集団戦のプロ指揮官。男の指揮官よりも的確な判断をしていつもその状況で考えうる最高の結果を収めている。

それがアンドロメダの名声を上げているのは動かぬ事実。

可愛くて華麗な戦いぶり。私の憧れよマリア。

マリアこそアンドロメダ最強の名にふさわしいよ。」

と真面目に答えるルビー。

「まあ、褒められて悪い気はしない。

素直にその言葉をいたただくわ。」

マリアがルビーを立てる。

「それで、マリアも探索?」

ルビーが聞く。

「うーん。ちょっと違うかなぁ。

いわゆるストーカーってやつ。」

とマリアがはにかみながら言う。

「ストーカー?」

カスミがちょっと身を引く。

「なるほど。貴女が得意な人間観察モニタリングね。

ずっと私たちをつけてたのね。」

ルビーがちょっと怪訝な顔を見せる。

「正解!特にお隣のカワイ子ちゃんをね。

ルビーのことはよく知ってるから。

きっとこの戦いの中で心理戦になる状況がきっとある。

特に序盤から中盤辺りにね。

強者だけが有利なわけではない。

だから街を歩いて参加者がいたら、その行動の中での癖や所作をデータとして使いたい。単純に利き腕がどちらかとか些細なことでも十分。

銃を撃ちまくって勝ち抜けるほど甘くはないって私は解釈してるわけ。

命がかかっているんだもの。私だって必死なのよ。」

と笑顔でマリアが答える。

「さすがね、マリア。それで私たちの些細な何かはつかめた?」

ルビーが好奇心の顔で聞く。

「うん。すごーく仲がいいな、これは間違いなく恋人同士。

これから殺し合う者同士がお揃いの服着て手をつないでデートなんてありえない。」

マリアの言葉に、

「で?」

とルビーが真顔で突っ込む。

「二人は絶対に殺し合わない…ってぐらいかしら。

キャハハ、これぐらいの情報しか得られないけどいざって時になにかと役に立つものよ。」

とマリアは大きく笑って答えた。


冗談ぽくケラケラ笑っているマリアの姿に、ルビーとカスミは少し関心を示した。

あながち間違っていないからだ。

むしろ的を得た分析である。

もちろんこの状況で二人仲良く街を探索しているのだから誰しも関係性には予測がつくだろう。

だがマリアの言葉の裏には殺し合わないイコール【二人で死ぬ】という意味を含んだ口ぶりだ。

当然、二人で帰ることを目指しているが、それが叶わなければ二人で死ぬ道を選ぶだろう。

屈託ない笑顔のマリアの瞳の奥には、そんなルビーとカスミの心を透かしたかのような鋭さがあった。

「じゃあ、そろそろ行くわ。二人の時間を邪魔してゴメンね。」

マリアが軽く手を挙げ背中を見せた。

その背中に、

「お互いがんばりましょう。」

とルビーが声をかける。

その時のルビーの表情は無。感情を封印した瞳で見送る。

マリアは先程とは真逆の険しいものであった。


「あの人がリンさんが言ってたマリアさんね。

なんか優しそうでいい感じの人だね。」

カスミが安堵の表情を見せた。

それを見たルビーはため息をひとつこぼして、

「カスミにそう思わせるための演技。

これがマリアが言った心理戦って意味。

わかる?」

と問いかける。

首をかしげるカスミ

ルビーが続ける。

「もしカスミが戦場でマリアと遭遇してしまった時、カスミはすぐに戦闘態勢には入らない。

だって好印象を持ってしまったから、まず声をかける。

でもマリアは満面の笑顔で迅速に近づいてライフル連発してくるわ。

いいカスミ?もう戦いは始まっていると思って。

誰も信じちゃダメ!」

ルビーの言葉にカスミの表情が引き締まり、

「そっか…なんかショック…。」

と悲し気な表情をした。

「フフ…そんな顔しないの。

マリアが強いのはホント。ソロとしても戦闘能力はかなり高い。

そして何より頭がいい。

集団戦で彼女が最強と言ったのも事実よ。

チームのメンバー全員の個性を把握して的確に指示を出す。

まさに心理を利用した戦術を成しえる。

だから一師団のリーダーにまで出世できたの。

ただ彼女には一つ問題がある。」

ルビーが笑みを含ませながら話す。

「問題?」

カスミの問いに、

「性格がすごーーーーーく…悪い!」

と楽しそうに答えた。


挿絵(By みてみん)


笑顔が戻ったカスミは、

「ルビーとどっちが強い?」

と聞いた。

「うーん…そうね…根本的な戦闘技術は同じぐらい。

たださっきも言ったようにマリアには状況に応じた【悪知恵】をたくさん持ってる。

もちろん私だって様々な状況に対応する技術はある。

でもその戦い方じゃ常に後手に回される。

そう考えると少しマリアに分があるかな。」

ルビーがそう答えると、

「じゃあ、わたしと2人がかりなら勝てるよね?」

カスミがさらに問う。

「うん!私たち二人なら楽勝!」

と笑顔でルビーが答えた。

そんなやり取りをしながら歩き進めていると、

「リンさんとアナさんは信用できるかな?」

カスミが呟く。

「そこなのよカスミ、よく考えてみて。

私はアンドロメダの人間。すなわち主催者側から派遣されているの。

だから今の時点じゃ私を仲間に加えることはリスクしかない。

まあ、ある程度の理由は予想できる。

ただちゃんと顔見て話さないと相手の真意はわからない。

だって私たちが裏切らない保証なんてないじゃない?

それを確信しているのはカスミと私だけ。

だからカスミは私だけを信じて。

私もカスミだけを信じる。」

とルビーは優しく答えてカスミの頬を軽く引っ張り視線を自分に合わせた。

「うん、わかった。」

カスミもそれに応えた。


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