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【休載中】イノセントワールド  作者: 泉水遊馬
Chapter 2
15/121

シウダー・フアレス-7

気を良くしたようにリンがさらに続ける。

『じゃあ、ルビーが知りたがっている、こちらの手の内を教えるわ。

まず監視カメラの件。

全てのカメラから同じ周波数を検知したの。

それをわたしのスマホに拾って映像をハッキングしているの。』

自慢げに話すリンに、

「そんな簡単にハッキングできるわけないじゃない。

仮にできたとしてもとっくにアンドロメダに見つかってゲームオーバーよ!

しかもスマホにしろこのイヤホンだってどうやって持ち込んだわけ?」

ルビーの怒号に、

『持ち込んではいないわよ。現地で調達した。

そしてハッキングポイントをこの街のどこかにある管理本部までのルートで拾う。まあ、管理本部の場所も特定できてるから、これは間違いなく安全な回線泥棒だと言えるわ。』

と飄々とリンは答える。

絶句するルビー。しかし、

「それはそれで調達現場をカメラでアンドロメダに見られてるはずよ!」

と意見をぶつける。

『フフフ…。スマホをこのままの形で手に入れたと思う?

パーツをひとつづつ手に入れて、それをポケットに入れて自分で組み立てた。なんだかんだで3時間ぐらいで完成したわ。

イヤホンは拾った。知ってる?世界中で一番の落とし物ってワイヤレスイヤホンなのよ。下向いて街を探し歩いていたら1セットと片割れが2個拾えた。今、四人が着けているイヤホンはその1個づつってこと。』

リンの言葉にルビーとカスミはお互いの顔を見合わせて驚きを隠せない。

『さらに言えばそのイヤホンは支給されたスマート端末と連動するように仕上げてあるから、あなたたちの位置情報もわたしは把握しているってわけ。』

その言葉にルビーが反応する。

「GPSはマイクロチップに入っているはずよ。」

それを聞いたリンは、

『そう。チップからの位置情報を端末でも受信できるようになってる。

それでエリア外に出た時や武器屋に入った時のカウンターが作動する仕組み。

スマート端末から本部へと送信する周波数とは別に、どこにもつながっていない回線を見つけたの。最初はその回線は予備回線だと思ったんだけど、周波数がほかの二つとは全く違う。だから予備ではなく明らかに使い道のない回線だとわたしは判断してそこにこの4人専用の回線を作った。』

と、淡々と答えた。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

そこでカスミがまっすぐな質問をする。

「GPSがスマート端末に繋がっているなら、最初から端末にGPSの機能をつければいいのに…。」

それに対してリンが、

『ルビーどうぞ。』

と、回答を投げる。

「GPSは体内にないと意味がないの。

だって端末の紛失や故障があった場合その間の位置情報が管理本部が把握できない。スマート端末はあくまでも管理本部と参加者とのコミュニケーションツールに特化しているだけで、本当の管理は体に埋め込まれたマイクロチップで行う。端末に表示されことはあくまで現状の情報。

すべてはマイクロチップを中心に私たちは管理されているってこと。

でしょ、リン?」

ルビーの答えに、

『さすが!その通り。100点満点の回答よ。』

リンが褒めちぎる。

リンの思うがまま発言をさせられているルビーは複雑な想いでいた。

先ほどから、完全にリンに主導権を握られルビーの欲しいパワーバランスは完全にリンに持っていかれた。

だが、リンの才能を認めつつあったルビーは、この話し合いでの優位を諦めていた。とにかく引き出せる情報をすべて聞き出し、共闘するか判断していこうと決める。

すると突然リンが、

『ルビー、カスミちゃん!

その高台から下を覗いてみて!

面白い光景が見れるわよ!』

と、すべての話を中断して興奮気味で叫ぶ。

言われるがままに二人で高台の少し先の路地を見る。

挿絵(By みてみん)


そこには二人の影が見える。

ルビーが、

「シャロン…。」

とつぶやき、カスミは、

「クローレ・プルシェンコ…!!」

と興奮気味に声を上げる。

狭い路地を、すれ違う二人。

一瞬、目を合わせる。

挿絵(By みてみん)

『二人ともまだバトルの時間前だから、今は戦わないけど…。

貫禄の塊ね。映像だけでもビビっちゃう。』

リンが言葉とは裏腹に面白そうに言う。

ここでアナが提案を出す。

『今日はこの辺にしましょう。

明日、お二人で私のホテルの部屋に来ませんか?

そこで話を詰めていきましょう。

I地区エリアにあるプルジョーナホテルです。

お待ちしています。』

アナはそういうと通信を切った。

『じゃあ、明日はアナのところで落ち合いましょう。

昼ぐらいでどう?

あ、心配しなくてもホテルの部屋には監視カメラはないわ。.

アンドロメダにも最低限のモラルはあるようね。

安心して今夜はラブラブしてね。』

とリンは言って通信を切った。

「監視カメラって死角がないって聞いたけど。」

カスミがルビーに訴える。

少し思案をしたルビーは、

「そういうことね。本当にカメラごしに見えてるんだ…。

なんとなくリンのあの自信に満ちた態度のカラクリが見えてきたわ。」

と腕組みをして答える。

理解できないカスミに、

「明日になれば全部わかるよ。」

と言い手を引いてD地区エリアの自分のホテルにカスミをエスコートした。

「そういえばわたしのコンシェルジュはクロエさんなの。」

と思い出したかのようにカスミが言う。

「えーー、いいなぁ。クロエは優しくて素敵な人でしょ?

私もクロエがよかったぁーーー。」

と羨ましく言うルビー。

二人きりの、つかの間の幸せな時間が始まった。

挿絵(By みてみん)

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