シウダー・フアレス-4
「さがしてたんだよ!」
ルビーがはじけた声で喜ぶ。
「わたしも‼」
霞も笑顔がまぶしい。
ルビーから連絡が取れなかった理由を聞かされ霞は納得。
そして自分とルビーを引き離したアンドロメダに怒りがこみ上げる。
そんな霞の姿を見てケラケラ笑うルビー。
本来ならここからイチャイチャタイムに突入なのだが、
「カスミ。今から私が言う事をよく聞いて。」
と一転して真顔でルビーが霞に言う。
その表情に少し驚いた様子を見せた霞だが、すぐに集中をルビーに向けコクリとうなずいた。
「いいカスミ?あなたは優しいからきっと私を助けようとする。
でもそれは意味がない。どちらかしか生き残れないの。
カスミは自分が生きるためだけの行動をして。
例え私に何が起ころうと。私がカスミを守るから!!」
そんなルビーの言葉を聞いた霞の瞳はさっきまで真ん丸に輝いていたそれとは違い、普段の哀しげな伏し目に変わる。
「わたしは自分の身は自分で守れる…。」
霞のつぶやきにルビーは必死に自分の真意を説く。
「わかってる!!
貴女は強い。一緒に何度も仕事した私が一番カスミの強さを知ってる!!
でもねカスミ。今回はそんな単純な話ではないの。
貴女のお兄様の仇であるクローレ・プルシェンコやシャロンは次元が違う。
2人がかりで戦っても恐らく勝てない。
アンドロメダはこの二人で最終決戦をさせるように操作や誘導をするはず。
所詮、残りの私たちはただのそのお膳立て用の獲物に過ぎない。でも貴女が生き残ればあの二人でつぶし合ってくれる状況を作れる。
必ずそれまで私が守り切るから…!!」
切実に訴えるルビーの言葉の中にクロエの言っていた『シャロン』という名がでてきた。
「シャロンって?」
霞の問いに、
「ああ、そっかゴメン。執行部に上がってからシザーハンズって名乗ってるんだった。前から彼女を知ってる人は癖になっちゃっていまだにシャロンって呼んじゃうの。」
謎は解けたが霞だが、今はまったく問題ではない。
「ルビー。わたしもルビーを守る。だから一緒に…二人で…ここから出る。」
霞だって決意を持ってこの地に来た。
クローレ・プルシェンコを倒し、ルビーと二人で帰るのだと。
もちろん現時点では不可能であることは霞にだってわかっている。
ルビーと共に最後まで抗う。それでだめなら一緒に死ねばいい。
だがルビーも引けない。絶対に霞だけは死なせたくない。
だから言葉も強くなる。
「カスミ…!!私たちの体にはGPSと爆弾が埋め込まれているの。
わかっているわよね?
絶対にムリなの!!この街から逃げる事なんてできない!!」
温厚なルビーが普段は見せない怒った表情になる。
感情を抑えていた霞の精神は限界を迎えていた。
「違う…違う…違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!!!!!!」
霞が大声をだす。
驚くルビーに、
「どうしてわたしをひとりにしようとするの?
どうして一緒に戦ってくれないの?
どうして一緒に生きてくれないの?
どうして一緒に死んでくれないの?
ルビーがいない世界でどうやって生きていけばいいの?
ねえ?教えてよ…ルビー…!!」
絞り出すような声で霞がルビーに問う。
この瞬間、ルビーの心に刺さったのは霞への愛おしさ。
大切な霞を守りたい。
なぜなら愛しているから。
だから自分が犠牲になるしか希望はないと思っていた。
だが霞は違う方法を探していた。
大切…愛してる…だからこそ運命を共にするというルビーとは違う希望を。
自分の一方的な愛情を霞に押し付けてしまい、彼女を侮辱してしまったことにルビーは恥じた。
霞の緋色の瞳から涙がこぼれる。そして、
「ルビー。一緒にかえろう。ね?」
最後のその一言で、ルビーは共に抗うことを決めた。
ルビーの瞳からも涙がこぼれる。
「うん…一緒に帰ろう…。」
再び抱き合う二人。
これはこれからも共に生きるという約束となった。




