表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【休載中】イノセントワールド  作者: 泉水遊馬
Chapter 2
11/121

シウダー・フアレス-3

7月25日AM3:15。

カスミを乗せた輸送機は無事フアレス空港へ到着。

陸路にてフアレス市街、C地区エリアのホテルにチェックイン。

白を基調とした落ち着いた部屋。

挿絵(By みてみん)

母からコーディネートされた服を脱ぎ捨て、白いシャツと短パンという、いつものカスミスタイルに着替えた。

軽い食事と休息の後、予定通りにマイクロチップを胸元に入れられる。

挿絵(By みてみん)

さらに昼食後に、A地区エリアのスタジオでスタイリストによるプロフィール画像撮影。

慣れない作業に疲れとストレスでカスミはちょっと不機嫌。

挿絵(By みてみん)

ただ画像の出来に満足(加工強め)。さらにクロエのスイーツな差し入れで機嫌が戻る。

ホテルに戻ると、部屋に戦闘服や武器の支給品が届く。

クロエと一緒にカスミのオーダー通りかをチェック。

挿絵(By みてみん)



7/25. PM14:25


初日のスケジュールが、一通り終わり、

「街を散策してきます。」

とクロエに言い、さらに小声で、

「ルビーを探します。」

付け加えた。

それに対してクロエは、

「承知いたしました。カスミ様なら心配無用かと思いますが、治安の悪い街ですのでお気をつけて。

わたくしはこちらで待機しております。」

と言い、小声で、

「ルビーは高い場所で街を見ています。」

と添えた。

お互いに笑みで応えて、カスミはシウダー・フアレスの雑踏に足を踏み入れた。


カスミは支給されたスマート端末を見ながら自分の現在位置を確認して西に移動。

A地区エリアを横切り、B地区エリアまで高い建物を見上げながら進む。

クロエが言った意味は、ルビーがスナイパーであるからこそ高い位置からスコープを覗いているという事。

少し高台に上がったカスミは自分の現在位置をもう一度確認。

B地区エリアの32…。」

そう呟きながら高台から一望できるフアレスの街を見ながら再び東へと向かう。

大きな街だが、高い建物は中心部に固まっている。

A地区エリアに絞り込んで捜索を再開した。

カスミがメインストリートをきょろきょろしながら歩いていると、少し背の高いアジア女性と肩がぶつかる。

明らかにカスミの不注意。

「ご…ごめんなさい!!」

慌てて謝罪するカスミに、

「これ落としたわよ。」

と女は優しい笑顔でいて強引にカスミの右手になにかを握らせた。

女はそのまま足早に立ち去る。

残されたカスミは戸惑いながら握らされた手を開く。

そこにはワイヤレスイヤホンが1組、手のひらで転がっていた。

もちろん自分の落としたものではない。

しかしすでに女は雑踏に消えていた。

どうしたらいいかわからないカスミは、一旦ポケットにそれを入れてルビー探しを再開した。

挿絵(By みてみん)


メインストリートから一本入り辺りを見渡すと、陽が落ちてきたことに気づく。

暗くなると見つけづらい。

もちろんルビーからも見えないかもしれない。

今日の捜索を諦めかけていたその時、頬に温かい風を感じた。

ふと見上げると教会の展望塔に人影が見える。

この街は教会が多い。だからこそ目立つ高い塔が盲点となる。

カスミは目を凝らす。

「ルビーだ…。」

と、確信する。

挿絵(By みてみん)

とにかく思い切り手を振ってアピールする。


一方、ルビーもカスミを探していた。

このメインストリートを見渡せる場所でひたすらスコープで街を眺めていた。

(きっと街を下見したみするはず…。早く見つけないと…。)          

焦る気持ちがルビーにも生まれる。

だが運命の糸はつながっていた。

スコープに見えるカスミの姿。

こちらに向かって手を振っている。

「よかった…。」

安堵の声が漏れる。

大会が始まってからでは見つけるのは困難。

必ずその前に見つけることでルビーの決意を実現できる。

それは彼女を守り彼女を生かすこと。

当然、そのためには自分が犠牲にならなくてはならない。

だがルビーに迷いはない。

これまでたくさんの人間を殺してきたのだ。

今さら死神に命乞いなどしない。

ただ最期は愛する人のために死ねればそれでいい。

ルビーは支給品のライトをカチッカチッと2回点滅させて合図を送る。

それを受け取ったカスミがジェスチャーで何かを伝えようとしている。

「C…違う…B…32…。」

そのジェスチャーに合わせてルビーが呟く。

そしてサインの意味に気づくルビー。

スマート端末を開き、フアレスの地図を確認する。

B地区エリアの32に来いってことね…!!)

ルビーは再びライトで了解の合図を送り、急いで荷物をまとめて移動を開始した。

挿絵(By みてみん)

カスミが選んだB地区エリアの高台。

見晴らしもよく、待ち合わせには最適な場所である。

間違いなくアンドロメダの設置したカメラに映るだろう。

関係ない。

2人が結託していると思われるだろう。

関係ない。

迅速に、そして確実に会いたい。

とにかくルビーに会いたい。

ただそれだけだ。

こんなにも感情的で情熱的な自分を知らない。

カスミの走る速度が上がる。

目的地にたどり着いたとき、息を切らせたルビーの姿が見えた。

カスミはルビーが自分のために急いできてくれたと感じて幸せを気持ちになった。

「カスミ!!」

ルビーもカスミを見つけた。

カスミは迷わずルビーに飛びついた。

抱き合う二人を夕日が照らす。

それは絶望の中に生まれた小さな光に包まれた瞬間であった。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ