バトルロイヤル 5 山本恭介VSブルース壱
A 地区の裏通りを南へ歩くアンドロメダ上位傭兵ブルース。
中東王族をパトロンとする超一流の殺し屋。
様々な宗教上の派閥があるデリケートな地域で、彼が仕切るチームの存在によってバランスがとれているといっても過言ではない。
それほどジェームズ・ベロンの信頼も厚い。
それほどの人材をこの大会の現地監視員に配置したのも、必ず成功させなければならないアンドロメダの強い意思を伝わらせる。
ただ本人にしてみれば退屈な業務である。安定しない中東情勢の真っただ中でる。
現地にいる部下たちは優秀なエージェントばかりだが、やはり自分が現場で指揮をとってきた自信がある。
はやく拠点としているサウジアラビアに戻りたいという願望が、退屈さを増してイライラ感を募らせていた。
(翌朝にはサウジアラビア行きの飛行機の中だな)
そう思って自分を慰めるブルースの目の前に、異質な気概を放つ男がタバコを吹かして立っていた。
手には短い刀を持っている。
「よう、そこのお前。
物騒なもん持って何してる。
うちの人間じゃないな。現地のギャングっぽくもない。中国人か?」
と穏やかに声をかける。
ブルースは、アナの優勝操作を知る数少ない現地監視員。
フェイ・リンの手下である可能性を疑っている。
男はブルースを一瞥して、
「あ?俺に構うな。それが身のためだ。」
と冷淡に言うと再びタバコを咥えた。
次の瞬間、ブルースはハンドガンを抜き男に銃口を向ける。
「この街のど真ん中で、いい度胸してやがる。
どこの組織のもんだ?フェアリノか?フェイ・リンの兵隊か?
二人とも死んじまったぞ。
ん?その刀…まさかGの仲間か?」
とブルースが言葉を放つと、男は刀を抜いて真一文字に斬りかかる。
寸前で避けたブルースのハンドガンから弾丸が放たれるとそれを刀で軽く払った。
「そうか…Gの名前に反応したか。俺の名はブルース。
侍は戦う前に名乗るんだろ?」
とブルースがネクタイを緩めて挑発する。
男は咥えていたタバコをペッと吹き捨て、
「草場流剣術、筆頭。山本恭介。
俺の間合いで一の太刀をかわすとは、なかなかの手練れと見た。
悪いがここで死んでもらう。」
と名乗り、グッと握りを強くした刀を中段に構えた。
「退屈凌ぎになりそうだ。心配するな邪魔は入らせない。さあ、始めよう。」
ブルースは言葉の後に無線機を床に叩きつけた。




