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5.チョコが柔い

「タナベ! ボクと勝負だ!」

「ぐわー、負けましたー」

「ふざけるな! ぶっ飛ばしてやる!」


 ホームランダービー参加者が3人になっちゃった……。


 というわけで、楽しい体育の時間でございます。

 体育という名の剣術ですけどね。

 2人1組で木刀の打ち合いをするというシンプルな授業内容。考えた人はミニマリストかな?


 いつもなら知り合い1号と昼飯を賭けて死闘を繰り広げるところだけど、いま俺の前に立っているのはアンズ大好き三人衆の1人、小さくて可愛いヤンチャそうでワンコ系なイケメン。ワカラセたくてたまらない///


「な、なんか悪寒が……」

「大丈夫? ホテル行く?」

「すごい良くない予感がする! 命より大事なものを失いそうな気がする!」


 そんな大げさな。ただちょっと自尊心をコナゴナにして従順なペットにするだけだよ?


「なんでアタシじゃなくてアイツなのよ……!」


 あれ、なんだろう。チョコよりドロッとした憎悪の感情をぶつけられてる気がする。

 具体的には女子と話してると知り合い2号がたまに睨んでくる、あの時の背筋がゾワッとする感じ。

 ……気のせいか! アンズとは違うクラスだし、授業も全然違うはずだし!


「あっ、アンズが見てる! おーい!」


 あわわわわ。

 逃げるんだぁ(使命感)。


《タナベ・リュートは 逃げ出した!》


「おっと、そうはいきませんよ?」


《しかし 回り込まれて しまった!》


「まったく、決闘を挑まれて逃げ出すなんて貴族の風上にも置けな――」

「死ねやナルシスト」


《リュートの 必殺・金的蹴り上げ!》


「おごぉおおおおおおおおおお!?」


《効果は ばつぐんだ!》


 髪の毛伸ばしてイキってる男に興味はねえんだよ。さっさと失せろや。


「伯爵家の跡取りに何やってんのさ!?」

「本当に申し訳ない」


 あまりの気持ち悪さに反射的に手が出てしまった。反省はしている。後悔はしていない。

 というかこのロン毛、伯爵家の嫡男だったのか。

 股間を押さえて地面をのたうち回る姿はまるで芋虫。こんな奴が未来の伯爵だなんて、我が王国の未来は明るいね☆


 俺、男爵。

 ロン毛、伯爵。


 ひょっとしなくても不敬。

 うーん、これは我が家お取り潰し。

 没落するしかないじゃない! やったね。


「もう一発いっとくか……」

「や、やめろー! 死にたくなーい!」


 ものすごいスピードで這いずり回りながら逃げていった。

 何がしたかったんだあのロン毛。

 さて、邪魔者はいなくなった。あとはお楽しみの時間だ。


「ひぃっ!」


 どうしよう、振り返って見ただけで怯えられちゃったんだけど。可愛いね。ちょっとそこの人目につかない茂みまで行こうか?


「ぼ、ボクは君より偉いんだぞ!? 子爵家を継ぐ人間なんだからな!?」

「大丈夫大丈夫、先っぽだけだから」


 さあ俺と君とのめくるめくアバンチュールを始めようじゃないか!


「覚えてろよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 残念無念。子爵家の跡取りは脱兎のごとく逃げ出した。

 クソぅ。運が良ければ玉の輿を狙えるかと思ったのに。

 仕方ない。よし、知り合い1号。今日のプリンを賭けて勝負しようじゃないか。


「お、おう。そうだな……」


 真っ青な顔で股間を押さえて、どうした?

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