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40.王太子殿下の回顧録 其の三

 レイアとの逢瀬を、順調に重ねていく。

 休み時間も放課後も、使える時間はすべて使ってレイアと一緒に過ごす。

 乙女ゲーでも攻略対象とフラグを立てる為、徹底的に会いに行ったものだ。


 お茶を嗜み、街中へ買い物デートに行き、暇さえあればボディータッチと耳元で愛の言葉を囁くのを忘れない。

 レイアは恥ずかしいのか、体に触れればすぐ離れてしまうし愛の言葉には顔を真っ赤にして押し黙ってしまう。

 その初心な様子がたまらない。

 買い物デートで、レイアに似合うアクセサリーを贈ろうとしたら断固として拒否されてしまった。「私なんかにはもったいないです」と言うその控えめな性格も可愛らしい。


「私などに構わず、他の方と有意義な時間を過ごされてはいかがでしょう?」


 私がレイアにばかり構うから、他の令嬢に申し訳なく思ったのだろう。

 少し寂しそうに眉尻を下げ、申し訳なさそうに自分より他の人を優先してほしいというレイア。

 自分の心を押し殺す必要なんてないのに! キミはもっとワガママになっていいんだ!


「君との時間に比べれば、他の事などすべて些事だよ」


 大丈夫、私がキミから離れることはないよ。絶対にキミを幸せにしてあげるんだ!


 そう。

 『聖女』となる平民アンズとの関わりも持たず、聖騎士候補となることもない。

 すべては順風満帆そのもの。

 順調に進んでいる。そのはずだったんだ。


 レイアに婚約者がいるなんて事実が発覚するまでは。


 しかもその婚約者は聖女であるアンズに首ったけ。いつ見ても一緒に行動しているらしい。

 ……そうでない時は、1人で宙に向かってボソボソと語りかけているらしい。頭がおかしいのでは?


 というか何だよ、婚約者って。

 レイアの婚約者はこの私! 『王太子』がなるはずだろう!?


 どこの馬の骨とも知らない、辺境の男爵家令息だと!?

 そんな奴、乙女ゲーにも出てこなかったじゃないか!


 いたとしてもモブキャラ。名前も知らない生徒A。

 そんな奴に絆されるだなんて、やっぱり聖女とは関わらなくて良かったな。どんな男にも股を開いて誘惑しているに違いない。

 これだからパイオツのでかいチャンネーは駄目なんだ!


 レイアという世界で最も素晴らしい女性が婚約者だなんて、男として最高の幸せに違いない。

 しかしリュート・タナベとかいうクズ野郎はレイアを放っておいて痴女であり性女でもある阿婆擦れに夢中になって、大切な婚約者を蔑ろにしている!


 レイアはこの事実を知っているんだろうか。

 いや知らないだろう。


 彼女にこの残酷な真実を教えてあげた方が良いだろうか。

 でもレイアの悲しむ顔は見たくない。


 ………………いや、待てよ?




 レイアが婚約者の不貞を知る

 婚約者の有責で婚約破棄する

 王太子が傷心したレイアを慰める

 レイアと王太子が真実の愛に目覚めて結婚する




 これだ!


 なんて完璧な流れ、うつくしいフローチャート!

 私とレイアが幸せになって、悪いことをした男爵令息と聖女は弾劾して追放すればいい。

 乙女ゲーでも結局、聖女なんて平民の怪我を治す旅に出るくらいで大した役に立っていなかったし、いなくても構わないだろう。


 そうと決まれば話は早い。

 まずはレイアを、聖女と男爵令息がよく通る道まで誘導する。

 そして自分の婚約者が他の女と親しくしている様子をレイアに見せる。


 あぁ、レイア! 衝撃と悲しみに曇るキミの顔も美しい!

 でもキミに泣き顔は似合わない。

 さあこちらにおいで。私がキミの心の傷を癒してあげるからね。

 大丈夫、私はあのふざけた婚約者と違う。

 私はキミを、絶対に裏切ったりしないよ。


 ……

 …………

 ………………


 計画通り☆

 濡れ場シーンって書くの難しくね? エロ関連の創作してる人たちってすごいんだな。尊敬するわ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 殿下、前世は胸の平たい種族であったか。 [一言] 結果的に、諸悪の根源は義弟君になるなぁ。 彼が支援金の行方をオカシクしたせいで、 男爵家(の主人公)と公爵家(のパパさん)の 認識がおかし…
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