35.チョコを抜く
「ご、ご主人様……?」
おっ、ユードリックも来たね。準備は大丈夫だった?
……なんでタオルで身体を隠してんの?
「は、はいっ! 身体も心も、準備は万端です!」
? そっか。それじゃあ俺の背中を流してもらおうかな。
前は自分で洗うからさ。
タオルはこれ使ってね。
「それでは失礼いたします……(パラリッ)」
あれ、タオル使わないの? 手洗い派だった?
レオナルドくんもこっちを見つめてどうしたの。そんなに見つめられると恥ずかしい///
ムニュンッ
あれ、なんか背中に柔らかい感触が。
「……すごい。ご主人様の背中、大きいですね」
ユードリックが耳元で囁く。その甘い声色に背筋がゾクゾクと震える。
い、いやいや落ち着け俺。ユードリックは男だぞ? 男相手に興奮するなんてとんでもない。
冗談で可愛いとか口説いたりはしてたけど、それでも俺の性癖はノーマルのはずなんだ。
だから落ち着け愚息よ。盛り上がってくるんじゃない。
「んしょ……よいしょ……♡ 気持ちいいですか? ご主人様♡」
はい、すっごく気持ちいいです!
愚息が直立不動の体勢に入りました。ダメみたいですね。
いやユードリック、エロすぎじゃない? エロ杉内ですよ。ちょっと心配ですがブルペンには杉内がいます。
男が出していい色気じゃないでしょコレ。
耳元で囁くだけでも反則なのに、背中を洗う手付きがエロいしたぶんコレ身体を擦りつけて来てるし。
「ご主人様のからだ……ンッ、すっごくたくましくて、おっきい……♡ カッコイイ♡」
……本当に男か?
もし仮に男だとして、この身体の柔らかさは異常じゃない?
めちゃくちゃ太ってるとか運動全くしたことないとかじゃないと説明つかない。
でもユードリック、公爵家の騎士でもそれなりに強い方だったらしいしなぁ。見るからに太ってもないだろうし、運動してないってことはないだろうし。
それに決闘で組み伏せた時には、服越しとはいえこんな柔らかい感触はしなかったし。
あと、ユードリックも興奮してるのか分からないけど、耳元でハァハァ喘ぐのやめて。もうこれ以上俺のムスコは大きくならないから。
『いやあの従者は女だろ』
………………いやいやいやいや。
誰があの腹黒《聖剣》の言う事を信じるか。
ユードリックは男。ユードリックは男。ユードリックは男────
「ごしゅじんさまぁ♡ すき♡ だいすき♡ だぁいすき♡」
────もう男でもいいんじゃないかな。
耳元で愛を囁かれながら裸で抱きつかれて、もう辛抱たまらんとです。
こんなにエロくてカワイイんだったら性別なんて些細な差異ですよ。
俺の聖剣が聖なる力を解き放ちたさすぎてビクンビクンと震えてますよ。
ハッキリ言って限界です。ユードリックは俺をこんなにした責任取ってください。
「お湯をかけますね」
ザッパァ……と背中からお湯をかけられたことで正気に戻る。
ふぅ、危ないところだった。これ以上続けられてたら正気を失ってユードリックに襲いかかるところだった。
身体の前も洗い終わったし、温泉に浸かってこの昂った体と心を落ち着かせないといけないな。
「それじゃあ今度は、前ですね」
え。
いや大丈夫。前は大丈夫だから、自分で洗ったから! いま見られると色々とマズいから!
慌てて座椅子から立ち上がろうとするけど、それより先に素早く俺の前にユードリックが身体を滑り込ませてくる。
白い陶器のような肌、ほんのり膨らみのある胸、魅惑的な曲線を描く腰、そして────
生えていない……だと!?
男を象徴する、雄なら誰もが持っている聖剣という名の性剣。
そんな命と同じくらい大事な生殖器官が、ユードリックの下半身には付属していなかった。
「ぁ、あの……ユードリック、ちゃん?」
「はい♡ ご主人様のユーリです♡」
ユー、リ。ユードリックではなくユーリ?
そういえばユードリックって呼んでたのは俺とセドリックくらいだったような。
レイアもアンズも、皆ユーリって呼んでいた……?
「えっと、ユーリ、ちゃん?」
「っ! 嬉しい! やっとボクの名前を呼んでくれました……!」
いやそんな涙流すほど嬉しかったの!? いやゴメンて。てっきりユードリックが本名でユーリは愛称みたいなもんだと思ってたからさ。
そっか。聖騎士候補だから男と偽って学院に通ってたんだな。ユードリックは偽名だったと。
………………じゃあ俺は、レイアとアンズとの婚約を断っておいて、その従者に奉仕を要求したゲス野郎……てこと!?
「はい。ボクを選んでいただけて、少し恥ずかしかったですけど、それ以上に嬉しかったです」
頬を赤く染めながら言わないで。可愛すぎて興奮しちゃうから。
い、いやでも決闘で首絞めようと掴み合った時にはそんなに肉付き良くなかったじゃん!? 男女の双子で、どこかで入れ替わったとかじゃないの!?
「常日頃はサラシを巻き、防刃の肌着を身に付けているものですから」
あの硬い感触はそういうことだったと。
そっかぁ……。ユーリちゃんだったのかぁ……。
「では、ご奉仕させていただきます♡」
あっいや、やっぱり大丈夫というか遠慮しようかなーなんて思うか。
座椅子に座り直させないで! キミちょっと決闘の時より力が強くない!?
「ご安心ください。ご主人様の初めてはレイアお嬢さまのモノだと決まりましたので」
なにそれ全然安心できない。
「今回は、手と口でご奉仕させていただきます」
その言葉で、ユーリの手と口に視線が吸い寄せられる。
細くしなやかで美しい指、柔らかく潤いのある唇。
自分の聖剣がこんな素晴らしいもので優しく手入れされるのかと想像すると、期待と欲望でより一層、熱く大きく固く怒張していくのが分かる。
「す、すごい……♡」
ユーリも俺のモノを見て何かを想像したのか、驚きに目を見開く。その瞳に甘い熱が宿っているように見えたのは、きっと気のせいじゃないだろう。
ゴクリッ
俺か、ユーリか。それとも両方か。
生唾を飲み込む音が、静まり返った浴場に響く。
「そ、それでは。失礼いたします、ご主人様……♡」
俺の目の前に跪き、恭しく両手を伸ばしてくるユーリに、抵抗する気は一切なくなっていたのだった。
子どもが財布を落としたから追いかけて渡そうとしたら隣にいたお母さんに不審者を見る目で見られたけどボクは元気です。気持ちはよく分かる。
もしこの描写がアウト判定喰らうようでしたら、この話だけ別サイトのハーメルン様にR-18タグ付けて再掲します。




