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22.チョコが逃げる

「ユーリ。あっちでお話しましょう」

「そうね。大事なお話があるからね」

「い、いやだーーーー!」


 まったくの無表情になった女性陣2人に両腕を掴まれて引きずられていくユードリック。

 ドナドナド~ナ~ド~ナ~。


「ヤメロー! 死にたくなーい! 死にたくなーい!! 死にた────ゴブッ」


 あ、黙らされた。

 南無南無。

 ありがとうユードリック。君の犠牲は忘れない。


「リュート」


 アッハイ。


「そこでおとなしく待ってろよ?」


 ワカリマシタ!(^q^)


 いやめっちゃ胡散臭そうに見てくるじゃん。そんな風に見なくたって大丈夫だよ。

 ほら早くユードリック連れてって。俺はここで道草食べてるから。

 え? またお腹壊すからダメ?


 ………………行った?

 行ったな。


 よし、逃げよう。

 今あの2人に関わったら駄目だ。社会的にも生命的にも抹殺されかねない。

 ユードリック? 知らない子ですねぇ……。


 それはいわゆるコラテラルダメージというものに過ぎない。(俺の)逃亡目的のための致し方ない犠牲だ。

 身代わりはヤンデレの女性2人に対する自己防衛の手段だ。

 彼女ら2人が俺への気持ちを諦めない限り、俺もこの場からの逃走を続ける。

 ユードリックが枕を高くして眠ることはないだろう。

 生命権は俺に与えられた権利だ。今すぐ逃げ出せ。


 死か自由かだ!


「タナベ男爵令息。少しお話したいんだが、いいかな」


 後門の王太子殿下が現れた!


《タナベ・リュートは 逃げ出した!》


「おっと、そうはいきませんよ?」


《しかし 回り込まれて しまった!》


 なにこれデジャヴ?

「まったく、王太子殿下から逃げ出すなんてこれだから地方の田舎者は常識が――」

「死ねやナルシスト」


《リュートの 必殺・金的蹴り上げ!》


「甘い!」


《しかし 防がれて しまった!》


「な、なんだってー!?」

「同じ轍を二度も踏む私ではありませんよ! おとなしくお縄につきなさい!」

「くたばれロン毛!」


《リュートの 確殺・ボディーブロー!》


「ぐふぅうううううううううう!?」


《効果は ばつぐんだ!》

《急所に 当たった!》

《ロン毛の ジェームズは 倒れた!》


「逃ぃげるんだよぉおおおおおおおおおお!!」

「ま、待てタナベ男爵令息!」


 待てと言われて待つバカがいるか!

 あばよ王太子、俺は止まんねえからよ……!

 お前らが止まんねえ限り、その先に俺はいるぞ!

 だからよ……。


「待ってろって言ったよな?」


《レイアの 究極・アイアンクロー!》


「めぎゃああああああああ!!」


 止まるんじゃねえぞ………………。




---完---




「た、タナベ男爵令息ぅーー!」

「いちいち身分まで言うの、舌噛まない?」

「うわぁ!? 急に生き返るなぁ!?」


 遠回しに死んどけって言うのひどくない?


「うげ、王太子……」

「レイア? レイアじゃないか!」


 え、なに王太子殿下。俺じゃなくてレイアのこと追っかけてきたの?

 あっそれじゃあ後は若い人たちでごゆっくり~……。


 イヤ駄目だ。王太子殿下、俺のチョコ横取りしようとしたんだった。

 許せねえ……! 貴重な食料を奪うなんて王族のしていい事じゃねえ!

 この暴挙、許しておくわけにはいかぬ。

 野郎オブクラッシャー!


「おい逃げるぞリュート!」


 合点だ!


「レイア! 話だけでも聞いてくれ!」

「お断り申し上げ奉り候でございますわ! オーホホホホホホ!」


 レイアが壊れた!

 一刻も早く王太子から引きはがさないとマズい。

 レイアを右脇に抱えて全力で走り出す。


「ちょっとアタシたちを置いてかないでよ!」


 へいお姉ちゃんたち、乗ってかなーい?

 アンズを背負い、ユードリックを左脇に抱える。

 えー、本日はタナベ・タクシーをご利用いただきありがとうございます。

 次の駅はー、ヘケテテス。ヘケテテスでごぜえますわよ。


「お前を殺す」


 左脇から命の危機を感じるんですけど。

 運転手に危害を加えるのはおやめください。事故りますよ。


 オイコラ暴れんな! ただでさえ3人も抱えて重いのに動いたらバランス不安定になって落としちゃうだろ!


「誰が重いって?」


 レイアさん、正気に戻ったんですね。ちょっとこの生意気な従者を大人しくさせてくださいよ。

 あっちょ! ダメ、脇腹をくすぐらないで! そこは弱いのぉほぉぉぉぉぉぉぉ!!///ビクンビクンッ


「ダメよ、ユーリ。レイア」

「うん分かった!」

「チッ……」


 アンズの言うことは素直に聞くのね君たち。

 ユードリックはともかく、レイアまで。

 あの短時間で何があったん?


「というかコレどこに逃げてるの?」


 知らん。俺はただレイアに逃げろって言われたから逃げてるだけ。

 さながら現実からの逃避行と言ったところかな?

 王太子殿下たちも全力で追いかけてくるんだけど、このままだと追いつかれちゃうぞ。

 なんせ3人分の重量を俺1人で抱えて走ってるからな。

 まだ脇に抱えてる2人はいいよ。小さいし軽いから。

 問題は背中におぶってる人が発育抜群すぎて一歩ごとに2つの柔らかいメロンがモニュッ♡と俺の後頭部に当たって興奮してきたな。してしまうところですね。いつ前屈みになってもおかしくない。


「その柔らかいの、もっと押し付けてあげよっかー!」


 ウギギギギギッ! く、首絞めプレイとはずいぶんマニアックですね。そんなことされたら気絶しながら目覚めちゃうよ?


「………………よし、リュート!」


 ピッピカチュー!


「公爵邸まで走りなさい!」


 やってやろうじゃねえかよコノヤロー!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ネタの流用は程々に☆ [気になる点] じゅーむず君は、 内面が宰相に似てる宰相家じゃない聖騎士候補くんだったか 王太子とセットで何用だろうか。 [一言] 首を絞めるのは後ろのメロンのヒトじ…
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