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15.悪役令嬢の記憶 其の四

 お胸がドーーーンッ!!

 腰がキュッ。

 オケツがバーーーンッ!!


 女の子がケツとか言うな?

 うるせえ確定させんぞ。


 あの男を誘うことしか能がなさそうな厭らしい肉体。

 間違いありません、アイツが聖女です。


 聖女っつうか『性女』だろ。


 なにリュートとにこやかに談笑してんだテメー! リュートの隣は私のもんだぞ!?


 おい王太子、あそこにお前の運命の相手がいるぞ。

 王位継承権を捨ててまで聖女との幸せな未来を選んだお前はどこに行っちまったんだよ。

 漢見せろよ。


 というかアレだよな。

 乙女ゲーだと『産まれが庶子だから』って理由で王太子から嫌われてたけど、 たぶん違うよな。


 ズバリ『胸』だろ。

 王太子もリュートも、パイオツはデカければデカいほどいいんだろ!? モルペコに魂売ってんじゃねえよスケベ野郎どもが!


 あっ。

 リュートと目が合った。

 やっと私の存在に気付いたかこの浮気野郎。2つのメロンに鼻の下を伸ばしてないで、さっさと私のことを助けろや。


 ………………おい。なんだその諦めたような笑顔は。

 「分かってる、分かってるよレイア」って目をしてるんじゃねえ! リュート絶対ろくでもない勘違いしてるって!

 おいこっち見ろ! どっか行くな!


 やっぱり胸か!? 胸がないのがそんなに悪いのか!?

 仕方ないだろ! 牛乳飲んでも大きくならないんだから!


 リュートのバカやろおおおおおおおおぉぉぉ………………




---




 疲れた。


 リュートは聖女に寝取られたし、王太子は付き纏ってくるしで散々だ。

 乙女ゲーの展開とあまりに違いすぎるだろ。

 いったい何がどうなってんだってばよ。


「そういえば男爵家は、屋敷を売り払ったらしいな」


 夕食の席。お父様が切り出した。

 貴族が屋敷を売る? そんなん、没落したと認めたようなもんじゃないか。

 公爵家が援助してるのに没落するような事態になるか?

 お父様も一応、娘の嫁ぎ先として監視の目は光らせていたはずだけど。


 そういえば、リュートもアルバイトし始めたらしいな。

 聖女の実家の食堂で賄い付きらしい。

 食べるのにも困るくらいって、そんな事態になってるの?


「そこまで家計が苦しいのですか? リュートの実家は」

「いや、十分な援助はしている。しているはずなんだが……」


 お父様も眉間に皺を寄せて首をひねっている。

 少なくない額の金銭がどこに消えているのかまでは追えていないらしい。


「新しく絵画やドレスを買ったという報告もないし、最近では商人もほぼ出入りしていないとは聞いていたが……」


 改めて詳しく調査してみよう。

 お父様は席を立った。

 厄介な事に巻き込まれていなければいいけど。


 私もリュートに最近の実家の様子でも聞いてみないといけないな。

 そう決意した翌週。


 1日目 王太子とお茶会

 2日目 王太子とお茶会

 3日目 王太子と買い物

 4日目 王太子とお茶会

 5日目 王太子とお茶会


 お腹がタポタポになってしまう。


 何なのアイツ、お茶好きにも程があるだろ。

 唯一のお出かけの買い物も、途中から喫茶店でお茶飲んでたし。

 ちなみに2人きりじゃないからね。ちゃんと取り巻き連中いたから。

 浮気じゃない。これは断じて浮気じゃない。


 にしても貴族ってのは遊ぶにしてもお茶会か買い物くらいしかやることないのかね。

 こんなんだったらリュートが魔物倒すの見てた方が楽しいんだけど。

 「君の笑顔の前ではどんな宝石も霞んで見える」?

 愛想笑いですがなにか。

 目ん玉腐ってんだろ。


 そう、リュート。

 リュートと全然会えないんだけど。

 まず私が王太子に付き纏われて逃げられない。

 何とか時間を見つけて会いに行くことが出来たとしても、いつも何処かですれ違う。


 これさ、リュート私のこと避けてるよね?

 なんで? 何か嫌われるようなことしたっけ?


 ……浮気してて気まずい、とかではないはず。

 いやまさか、本当に浮気してたらリュートを殺して私も死ぬだけだから別にいいんだけどさ。


 リュートも私と同じで、聖女に付き纏われてる?


 あり得る。全然あり得る話だ。

 王太子と聖女。公爵令嬢レイアを大いに嫌っている2人が結託して、私とリュートの仲を引き裂こうとしている。


 これだけ過度に近づいてくるのは、きっとそうに違いない。


 ああ良かった。リュートは寝取られてなかった。

 じゃあ、邪魔者は排除しないといけないよね?


 ということで、ユーリちゃんよろしくね。

 公爵家のスパイとして、しっかり仕事してちょうだい。

 聖女の近くに居られるように、聖騎士候補にねじ込んどくね。


 何だったら、そのまま聖女を堕としてきてよ。

 あの気持ち悪い王太子の鼻を明かせてやらないと気が済まないからさ。


 ねえリュート。

 私、我慢したよ?

 下心まるだしのあばずれがリュートにすり寄っても、リュートのことを信じて見逃してあげてたんだよ?


 なのに、なんで?


 なんでその売女のチョコレートは受け取って、私のチョコは受け取ってくれないの?


「あぁレイア。君の婚約者は薄情にも他の女に現を抜かしている。

 君の傷付いた心を癒してあげよう。僕の胸に飛び込んでおいで」




「近寄るんじゃねえよ、人間のカスが」




「れ、レイア………………?」


 待っててねリュート。今、会いに行くから。

 今までのこと。

 それから私とリュートだけの、これからのこと。


 しっっっっっかり、お話しないとね?

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― 新着の感想 ―
[良い点] よん? TS令嬢、重い重たすぎる。良いぞ、もっとやれ。 聖女も重くなって修羅場してシェアしてもいいんじゃよ。 嫁が重い一夫二妻って、旦那的にどうなんだろう。 経験者、居たら語れ(無茶振…
[一言] 面白すぎるw。 当初のチョコの件はリュートに渡そうとしてたら捕獲されてたのねw。 ユークリッドの動きの理由とか色々と明かされましたが、原因の一つであるお金の行方は未だに不明。 令嬢VS聖女の…
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