ルビナのバースデー
最近ルビナは声を掛けられることが多くなった。主に女子生徒からだ。
クラスで仲良くしているソフィアさんをはじめ、子爵家のレイチェルさん、男爵家のデボラさんにもディートとの件を話した。
するとソフィアさんの様に怒ってくれてそれでいて慰めてくれた。私の為に怒ってくれるなんてみんな優しい人たちだ。友人に恵まれた事に感謝した。
外出禁止と言われて、誕生日までは家と学園の往復なので、友人達とのお茶会もお預けだが解禁されたら絶対にしましょう。と約束をした。
週末になってもディートと会う事はないし、学園でも校舎が違えば会うこともない。用がなければ顔を合わす事がないんだと寂しく思いながらも内心はホッとしていた。
それにもうすぐ自身のバースデーパーティーがある為、外出禁止と言われても準備をしながら忙しく過ごしている。
これを機にディートと一度話をしてみよう。と思った。
ディートは相変わらずクラスの人たちと過ごしているようだし私も今は会いたくない。
同じクラスの令嬢が教えてくれたのだけど先週ディートのクラスの伯爵子息のパーティーがあったそうで、ディートはパトリシアさんと一緒に行ったそうだ。
それを聞いても悲しくも怒りも感じなかった。以前だったらそうではなかったと思うけれど、友人達と過ごす様になって俯瞰でディートを見るようになった。
私は可哀想だと周りに見られている様だけれど、そんな事はどうでも良く思えてきた。“私は悪くない”友人が口を揃えて擁護してくれる。
だけど私にも悪いところはある。自分の意見を伝えられなかった。
ディートの言う事にノーとは言えないし(言わないし)両親にはパーティーが終わったら相談しようと思った。
それでも両親の前にお兄様に相談したらお兄様は驚いていたけれど、頑張って話してくれたな。と頭を撫でられた。
頭を撫でるのはお兄様の癖の様で子供みたいだと初めて非難したら、お兄様は声を上げて笑っていた。
『ルビナはいつまでも可愛い私の妹だから許せ』と言った。
そして『いつでもルビナの味方でいるから安心しろ』と声を掛けてくれた。
この事をソフィアさん達に話すと『素敵なお兄様ですね! うちのお兄様達とは大違いです!』
と言われて、お兄様の事を誇らしく思いました。お兄様はソフィアさんの親戚の伯爵家の令嬢と婚約をしています。お兄様が結婚なさったらソフィアさんの家とも繋がりができて遠い……けれど親戚関係となるのです。
いつものようにランチを友人達と過ごしていた。
「ルビナさんのバースデーパーティーが楽しみですわね」
ソフィアさんが言うと皆も相槌を打った。
「皆さんお忙しい中、参加してくださりありがとうございます」
十六歳のパーティーとは大事な節目で、家でパーティーを開いてお披露目するか、他家のパーティーに参加してデビューとするか、はたまた年に二度行われる王宮のパーティーでデビューするか等いろんな方法がある。
ローゼン子爵家は昔ながらの伝統に則り家でパーティーを開催しお披露目会をします。お兄様の時も家でお披露目会をしました。
ほぼ身内と家同士の繋がりがある家、そして主役である私の招待客(友人)のアットホームなパーティーとなる。
お兄様は嫡男だから盛大に開いて付き合いのある家の貴族達も大勢招待していた。
両親にどんなパーティーが良い? と聞かれ盛大にするより身近な人に感謝の気持ちを伝えたい。と意見を出すと私の意見に沿うように準備をしてくれました。
規模は大きくないけれど気持ちが伝われば嬉しい。クラスの友人を全員招待すると皆さん参加してくれると言われて嬉しかった。
中には侯爵家の令嬢もいて今回の件でちゃんと会話をしたのは初めてだったけれど『喜んで参加しますわ』と言ってくださった。
それから何度かお話をさせてもらったけれど、詩集がお好きな様で選ぶ言葉がとても美しく感銘を受けた。
今度おすすめの詩集を貸してくださると言われて、舞い上がっているのは内緒です。
舞踏会や夜会ではなくアットホームな会なので、パートナーがいてもいなくても参加してほしい。と招待状に書いておいた。パートナーがいない場合は探すのが大変な場合もあるし最近ではそういったパーティーも少なくはない。
カジュアルすぎては招待客に失礼あたるし、こだわるところにはこだわり、省けるところは省くのが最近のパーティーだから肩の力を抜いて参加して欲しいと思った。
パーティーではディートの家族を招待したけれど、お兄様がエスコートしてくれる。家族で挨拶回りをするからそうなった。
緊張するだろうけれど、お兄様がエスコートをしてくださるのはとても安心するし、友人にお兄様を紹介してちょっとだけ自慢したいと言う気持ちもあったりする。