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初めて……


『ルビナ、ごめん。結婚式まで待てなくて』


『謝らないで、ください。私も、その、ジェイ様としたかったので……』



 ベッドに入り眠る前に思い出してしまいました!



 きゃぁぁ! 




 おばぁ様……ルビナはふしだらな子ですっ!



******



 ルビナ、淑女は嫁入り前に殿方と触れ合ってはいけないよ。口付けは教会で神様に誓う時まで……



 小さい頃におばぁ様に言われていたのに……


 でも後悔なんてしていません。ジェイ様は大事な人だものっ。




 朝起きてお母様と二人での朝食タイムです。お父様は朝早くに出て行ったようでした。



「ルビナ今日の予定は?」



「今日は家具を選ぶ予定です。迷ってしまって中々決まらなくて……」


 素晴らしいものばかり用意されているんですもの。


「ルビナが良いと思ったものを購入すれば良いのよ。自分で使うものなんだから」



「お母様の時はどうやって決めたのですか?」



「わたくしの時は、この屋敷に似合った家具を揃えてもらったわねぇ。家具職人に、こういうのが良い、これは嫌とだけ伝えてあとはお任せしたの。結婚式の細かい事とか決める事がたくさんあって、お任せできるところは信頼のできる職人に任せたのよ。旦那様も爵位継承で忙しかったから、結婚式を終えてホッとした事だけ覚えているわ」



 懐かしそうに話をするお母様。



「大変だったのですね。お母様の結婚のお話を初めて聞きました」



 お父様とお母様は遠い親戚で、お母様の実家は伯爵家です。遠い親戚のため昔から顔を合わせていたのですって。


 お母様はお転婆だったからお嫁に行けるか心配されていて、年も近くて遠い親戚なら安心? という事で結婚をすることになったそうです。


 お父様はお転婆なお母様は可愛いと思っていた。と聞きました。お母様はそれを聞いて、旦那様の趣味は少し変わっているのよ。と笑いながら言っていましたが、満更ではなさそうでした。


 私が知る限りお父様とお母様は、仲が良かったですし、喧嘩をしてもお父様が謝って仲直りしていました。


 お母様が悪くてもお父様が謝って……優しいお父様ならではのエピソードですね。でも怒ったら怖いのでそのギャップが良いとお母様は笑っていました。



「お義母様が実直な方だったから、親戚一同からも反対はなかったのが救いだったわ。親戚で揉めることもあるみたいだから。ジェイ様の家は親戚も多いのに、滞りなく継承出来たところを見ると、侯爵様は若いのに信頼されているという事がよく分かるわね」



 兄弟の仲はいいですし、お義兄様は努力家だとジェイ様は言っていました。幼い頃から跡取りとしての教育は厳しかったのでしょう。今のマルクさんもそうですもの。


「爵位継承とは大変な事なんですね」



「そうよ。いまルークに爵位を渡す為に旦那様が方々に話をしに行ってるでしょう? お義父様とお義母様が亡くなって五年が経つからそろそろ私達も領地でのんびり暮らす事になるわねぇ。ルビナも忙しいだろうけど、のんびりしたい時は戻っていらっしゃいね」


「はい。その時はジェイ様と行きますね」


 何にもないけどそれが自慢の領地に、ジェイ様と。



「本当に仲がいいわねぇ。今からそんなんじゃ先が思いやられるわよ。ルビナ、おばぁ様の教えを守っている?」



「……え!?」



 ば、バレてるの? ジェイ様と口付けをした事っ? 目が泳いでしまいました……と同時に顔が赤くなりました。



「ふ、ふふっ……旦那様の前でそんな顔をしたらダメよ? 旦那様がヤキモチを妬いてしまうわね。私はルビナを信じているからルビナの好きなようになさい。ルビナの人生なんだからね……お互い好きあっているのは十分に理解しているから、何かあってもちゃんと責任をとってくれるでしょ? ……ジェイ様は嬉々として取ってくれそうね」



「何かって? なんですか?」



「……その調子じゃまだ大丈夫そうね。ジェイ様にわたくしが信頼していますと言っていた。と伝えてちょうだい。ほらそろそろ準備をしなさいな」


「もうこんな時間! お母様失礼しますね」



 パタパタと急いで準備にかかるルビナ。



******




 ルビナったらまた綺麗になっているんだもの。愛されるというのは女性にとって一番の美容法なのかもしれないわね。

 娘が美しく素直に愛する人と結婚する。なんて親としてこんなに幸せな事はないわね。


 真面目なところはお義母様譲りでしょうから、天国でも喜んでくださるでしょうね。



 私と旦那様はルビナとジェイ様のような恋愛関係ではないけれど、子供達に恥じない家族だと思う。わたくしは旦那様の事を大事に思っているし、旦那様も思ってくれている。


 二人の子供に恵まれて、二人とも将来のパートナーと巡り会えて仲良くしてくれれば、私たちも安心して領地で見守れるわね。




 さて、ルビナも出かける事だし、レースの続きを編みましょうかね。レースは母から教えて貰った編み方。私の結婚式のベールも母が編んでくれた。だから私もルビナにレースを編む。


 娘の為を思って編むレース、今になって分かる母の深い愛情だったと。



 結婚式は一大イベント。ジェイ様が全てを決めたいと言った時、ベールだけは譲れません! と言ったら、そこは折れてくれた。


 侯爵家の方々も何かさせて欲しいと話し合いになり、宝飾品を贈ってくださると聞きました。ティアラは由緒正しい侯爵家の物を……それを聞いて心から感謝をしました。


 ルビナは家族として受け入れられたんだって。



 それなのにルビナときたら“自分で選ぶよりジェイ様が見立ててくださった方が間違いがない”だなんて……



 もっと欲を出しなさいよ! 主役はルビナなのよ!




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