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初めて

 

 肩に優しく手を乗せられた。どきどきが止まりません。ジェイ様の顔が近く寄ってきているのを感じて……口付けをされましたっ! すごく幸せで唇を離されると少し寂しく思うほど……


 

「絶対に大事にするから」


「……はい」


「大好きだよ」


「はい、私もです」


 口付けの後は抱きしめられました。身体中に熱を持っているように熱くなりました。

 結婚式まで……だなんてジェイ様を散々待たせていたのに、ごめんなさい。焦らしたわけではなくて……



 熱が引くまでベンチで座ることにしました。このままでは皆さんの前に戻れません……



「ルビナ、ごめん。結婚式まで待てなくて」


「謝らないで、ください。私も、その、ジェイ様としたかったので……」



 そういうとジェイ様は微笑んでいました。


「同じ気持ちだったと聞いて安心した。結婚式まではキスしかしないから安心して」



 キスまで……


「もうっ! 変なこと言わないでくださいませ」



「ルビナは私のお嫁さんになってくれるんだろう」


「そうです、けど」


「はぁっ。ルビナが可愛すぎて仕方がないけど何とか頑張るよ」


「もうっ、また揶揄って、」



「ルビナは強くなったね。自分の意見も伝えてくれるし、でも相手を立てようとしてくれて、私の家族にも優しく接してくれて感謝しているよ」



 それは皆さんが良くしてくれるから、家族と言っていただけるからです。ジェイ様こそ私の知らないところで色々としてくれています。隠し事はしないといいながら結婚式の件は教えてくれません。でも私の為に動いてくれているので、聞いたりはしません。



「ジェイ様は私を甘やかすのが趣味なのですか?」


 照れ隠しのように言ってみました。



「趣味か……ふむ。それも一つだね。ルビナを甘やかしたり、ルビナを喜ばせたり、時には泣かせたり? ルビナの事はライフワークということにしようかな」


「……それ、他所で言ったらおかしい人と思われますよ」


「別に構わないよ。妻を愛する夫は世の中にたくさんいるじゃないか」


 ジェイ様は笑いながら立ち上がって私の手を取った。


「そろそろ戻ろうか?」


「はい」



「ルビナの為に用意されたスイーツだから好きなだけ食べて良いんだよ。ドレスは既に胸元のサイズは変更しているらしいよ」


 胸元……サイズがアップした事がバレていました。


「ジェイ様っ!」


 ドレスを作る時は必ず寸法のチェックをしていてその時の体型に合わせているから……それに伴いウェディングドレスも変更出来るんですって……


 ジェイ様はくっくっくっ……と笑っています。


「サイズが変えられるなら、思いっきり食べますからね!」



 そう言って私は久しぶりに思いっきりスイーツを楽しみました。照れ隠しです。そして本当に心ゆくまで食べてしまいました……




「アーサーさんクリームが付いてますよ」



 ハンカチで口元のクリームを取りました。



「ありがとう。ルビナお姉ちゃん」


「ふふっ。美味しかったですね」



「ルビナお姉ちゃん、何かいい事あった?」


 ドキッ!



「え? それは……こうして皆さんに祝っていただけたので」


「ふーん」



 アーサーさん、急にどうしたというのでしょうか……



「ルビナお姉ちゃん、さっきより可愛いから、ジェイ叔父さんとなんかあったのかと思って」



「え? ジェイ様とですか、いつも、通りですよ」


「いつも通りいちゃいちゃしてたの?」


「え? いつも通りって、」


 アーサーさんにもそう思われていたなんて……




「アーサー、ルビナを揶揄うなよ」


「だってルビナお姉ちゃん可愛いから」



 七歳の弟のような子に可愛いと言われる私って……



「お前にも大事な子が出来たらそのうち分かる」


「あと十年早く生まれていたらルビナお姉ちゃんが良かったな」


「残念だったな。ルビナは私のお嫁さんに来てくれるんだ。姉ができたと思って諦めろよ」



 ポンとアーサーさんの頭を撫でていた。




「ルビナはマルクにもアーサーにも懐かれているよな。まだ子供だから良いけど、もしルビナと同級生だったと思うと、うかうかしていられないな」



 マルクさんやアーサーさんが同級生だったとしたら……





「クラスが違いますから、安心してください」



「いや、もし私が同級生でクラスが違ったとしても、朝と帰りは迎えに行くし昼は一緒に摂りたいかな」


「ジェイ様と同じ歳ですか? それはそれで良いでしょうけど、ジェイ様とは今のままが良いです。ジェイ様の留学時代のお話を聞くのが好きですもの」



 なんて話をしていたら侯爵様がジェイ様を見ながら嬉しそうに言った。


 

「ジェイはフラフラしているのかと思いきや、しっかり稼いでいるし、植物園のおかげで我が家の評判も良い。しっかりして来たのはルビナさんのおかげだろう、良い子を捕まえたな」



 侯爵様に言われて恥ずかしくなる。



「ジュリアンヌやマルクから、ジェイがルビナさんといちゃいちゃしていると聞いて、信じられなかったんだが本当のようだな。私も可愛い妹が出来て嬉しい。ルビナさんジェイの事頼んだよ」



「兄上から見たら私はいつまでも甘ったれの末っ子のままですからね。結婚したら一人前として見てくれますか?」



 侯爵様とジェイ様は十歳も歳が離れています。小さな頃はお兄様っ子だったようですし、尊敬されていると聞いています。



「もちろん。だが、手を貸して欲しい時は遠慮なく相談して欲しい。家を出てもここはお前の家であることに変わりはないからな」




 お父様は侯爵様は優しいだけの人ではないと言っていましたが、とても家族思いな方ですよね。


 王宮で仕事をしている侯爵様は“氷の侯爵”という二つ名があるとか? ないとか……想像できませんね。








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