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侯爵家で食事をしました


 卒業式を無事迎える事が出来、卒業祝いにとジェイ様の実家の侯爵家で食事会を開いていただけることになりました。私の家族も揃って招待されました。


 晩餐だと堅苦しいので、ランチ会にしてくださって子供達も気軽に食事を楽しめる様にと配慮されていました。



 お父様は前侯爵様(私にとってはお義父様となります)とお酒を楽しんでいたり、お兄様は侯爵様(現在の当主)と領地の話で盛り上がり、ジュリアンヌ様はシンシアさん(ルビナ兄嫁)に胎教に良いものを聞いていて(現在妊娠中)和気藹々と過ごしていた。



「こういうのも悪くないね」


 ジェイ様に言われて笑顔で答えました。


「嬉しいです。侯爵家の皆さんに感謝ですね」



「ルビナお姉ちゃん、一緒に庭に行こう」


 アーサーさんに誘われました。ランチが終わりそれぞれお酒を楽しむ人、お茶を飲む人など好きに過ごすようです。



「はい。行きましょう。ジェイ様はどうしますか?」



「私は父上に呼ばれているから、アーサーの事を頼んで良いかな?」


「はい、アーサーさん行きましょうか?」



「うん」



 手を繋いで歩いていると、マルクさんも来て三人で散策することになりました。



「アーサーは目を離すとすぐルビナお姉ちゃんを連れ出そうとするな」


「兄様だって、いつもルビナお姉ちゃんと本を読むといって連れて行くよね!」



「ふふっ、本当にお二人は仲がいいですね。これからもよろしくお願いしますね」


「「うん」」



 夏のお庭には、ひまわりが咲いていたり大きなお花が多いですね。



 噴水の前のベンチに座り、三人で話をしていました。話題はマルクさんの留学の話でした。候補は二カ国あるそうで現在調整中なんですって。ジェイ様は十三歳から五年間留学していましたが、マルクさんは十二歳から行って三年ずつで二カ国へ行こうと考えている様です。十二歳からとなると来年ですね。



「そうですか。寂しくなりますが見聞を広めて元気な姿で戻ってきてくださいね」



「うん。手紙を書くね、良かったらジェイ叔父さんと遊びに来てくれると嬉しいな。長期休暇には帰ってくるからその時は会おうね」


「はい。マルクさんお時間があったら教えてくださいね。皆さんマルクさんが帰ってくるのを心待ちにしていると思いますから」



 来年はバタバタしそうですね。マルクさんが留学に出るとなるとアーサーさんも寂しいでしょう。私も結婚すると今までの様に頻繁に侯爵家に来ることはなくなりそうです。



「アーサーさん、マルクさんが留学に行って寂しくなりますが良かったら伯爵家に遊びに来てくださいね」



「うん。行きたい」


「お待ちしてますよ」




 庭を散策してお話をすること一時間ほど経ちました。侯爵家のメイドにお茶の時間です。と呼ばれ屋敷に戻ることにしました。



 サロンに通されました。するとそこには……


「まぁ!」


 と言って驚くことしかできませんでした。そこにはスイーツがたくさん用意されていました。


「ルビナさんの好きなものをたくさん用意したのよ。さぁ召し上がれ」



 ジュリアンヌ様がサプライズで準備してくれたものでした。


「ルビナ、せっかく用意してくださったのだもの。今日は遠慮なくいただきましょう」



 お母様に言われて頷きましたが……食べたいのですが……



「ルビナ最近あまり食べていないようだけど、具合でも悪い?」



 ジェイ様が私の顔を覗き込むように見てきました。


「いいえ。たくさんいただきましたよ?」


 チョコレートケーキにフルーツタルト、ブドウのゼリーをいただきました。



「こんな小さなサイズなのにたったこれだけしか食べていないじゃないか。やはり具合でも悪いのか?」



 ち、違うんですよ……ジェイ様ったらどれだけ食いしん坊だと思っているんですか……これにはちゃんと訳があるんだから。



「最近……サイズアップをして、ジェイ様から頂いたお洋服がキツくなって……」



 胸元や腰回りに余裕がなくなってきました。正直言うと苦しいのです。



「あぁ、なんだ。そんな事か」


「そんな事ではありませんよ! お気に入りのワンピースがですね、」



「あれはいつあげた物だった? 身長も伸びたじゃないか。女性らしく成長したって事だろう?」



「でも結婚式では綺麗な姿をジェイ様に見て欲しいから」



「……嬉しい事を言ってくれるけど、それ以上綺麗なってしまうと困るよ」


「え?」


「ルビナは色々頑張ってくれて、とても充実しているんだろう?」


「はい、毎日楽しく過ごしています。皆さんのおかげです」



「ルビナに会うたびに綺麗になっていて、色々と限界なんだよ……」



「限界? どうかしたのですか……」



 ジェイ様のお顔が赤くなっていました。


「ちょっと来て!」


 腕を掴まれ、庭に行きました。サロンからすぐ出られるところにある中庭のような場所です。ジェイ様は人払いをされました。



「ジェイ様?」



「ごめん、誰が聞いてるか分からないから」



「ジェイ様、何かに悩んでいるのですか? 限界とは何のことですか?」



 ジェイ様が目を瞑って自分の頭をぐしゃぐしゃと掻きました。



「ルビナが可愛すぎてルビナに触れたい、誰にも取られたくない、私だけのものにしたい。早く結婚式を挙げたい。そんな感情で溢れている」








「……ジェイ様も?」



「え?」



「私はジェイ様が素敵すぎて困っています。隣に立って恥ずかしくないようになりたいと思いますし、早くジェイ様のお嫁さんに、なれたら……って思っています」



 早くお嫁さんに……って恥ずかしい。かぁぁっと顔が火照り出しました。なんていう事を言ったのでしょう。



「触れても良い?」


 こくんと頷く。同じ気持ちだから。


「ルビナ、愛してるよ」



 ギュッと目を瞑りました。


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