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最後の学園祭2


 ~学園祭初日~



「ルビナお姉ちゃん」


「マルクさん! ジュリアンヌ様もいらしてくれたのですね」



 ジェイ様から来るとは聞いていたけれど、本当に来てくれるなんて!


「まぁ。なんて可愛らしいのかしら。皆お揃いの衣装なのね。レースのエプロンがとても可愛いわ! 良いわね学生時代を思い出すわ」


 ジュリアンヌ様も同じ学科だったと聞きましたから懐かしんでいる様でした。


「夫も来られればよかったのだけど、仕事でトラブルがあったらしくて来られなかったの。とても来たがっていたのよ」


「まぁ、それは残念です。寄付金も出されていると聞いていますし、校長先生もお会いしたかった事でしょう」



 立ち話もなんですし、空いた席に案内する。先生も見回りに来てトラブルがないかをチェックしていました。



「あら! ジュリアンヌさん?」

「先生! お久しぶりですわ」


「ルビナさんの関係者なのかしら?」


 先生は私を見て言いました。


「ルビナさんは主人の弟の婚約者で、私にとって妹の様な存在です。この子は私の息子でマルクと言います、マルクご挨拶してちょうだい。私の学生時代の先生なのよ」


 マルクさんは挨拶をして先生は嬉しそうな顔をしていました。生徒の子供を紹介されるのは嬉しいのでしょうね。お二人の会話はとても楽しそうでした。



「マルクさん、今準備をしますから少し待っててくださいね」


「うん」


******


 ここからマルク視点です。



 ここがルビナお姉ちゃんの教室か。女性しかいないというからジェイ叔父さんも安心だろうね。みんなお揃いの服を着ているけれど、ルビナお姉ちゃんが一番可愛い。もちろん綺麗な人も可愛い人もいる。でも楽しそうで一生懸命なところを見ると、ルビナお姉ちゃんが一番だね。


 ルビナお姉ちゃんは友達と話をしている。うーん。あれは確か……伯爵家の令嬢に子爵家の令嬢、それに男爵家の令嬢だな。


 みんな雰囲気が似ているのでルビナお姉ちゃんに危害を加えるとかはなさそうだよね。このクラスの令嬢達からは悪意とか感じないし、良いクラスなんだろうね。侯爵家の令嬢もいて帳簿らしきものを付けている。担当があるんだろう。



 ルビナお姉ちゃんは接客担当みたいだけど、さっきからチラチラとルビナお姉ちゃんを見ている男達がいるけど、ルビナお姉ちゃんは気がついていないのかな? 



「マルクさんお待たせしました。おすすめはミルクティーです。お茶の種類は──」



「ルビナお姉ちゃんのおすすめが良い」



「それではジャスミンミルクティーにしますね!」



 ルビナお姉ちゃんはお茶を淹れる時凄く楽しそうだよね。



「お待たせしました」


 母上と先生はまだ話に夢中だから、先に飲ませてもらおう。


「ミルクがふんわりとした優しい味わいになって美味しいよ」


 初めて飲む味だった。ルビナお姉ちゃんにも座って欲しいけれど、接客中だからダメなんだって。


「お菓子もどうぞ。これは私が焼いたものなんですよ」


 バタークッキーとチョコチップクッキーを出してくれた。



「これも美味しい。ルビナお姉ちゃんはお菓子も作れるんだね」



「クッキーしか作れませんよ? でも美味しいと言ってくださってありがとうございます。お客様が増えてきたので接客してきますが、何かあったら呼んでくださいね」



 ぺこりと頭を下げてクラスの令嬢の元へ戻って行った。



 それから他の席の客にお茶を淹れていた。お茶を淹れている間は話しかけられたりするんだ。ふーん、面白くないっ!!


 お茶を淹れてまた次の席へ行った。話しかけられてルビナお姉ちゃんが困った顔をしている。こういう時の為に先生が居るんだろうけど……まだ母上と話をしているし。


 お茶を淹れたルビナお姉ちゃんは挨拶をして席を離れた。このカフェ、人気が出るのが分かる気がするけど護衛とかいるんじゃない? しつこい男とか絶対いるだろう? 



 あ、ルビナお姉ちゃんが!



「この後一緒に学園祭回らない?」


「ごめんなさい」


「なんでー? 可愛い子と一緒に回りたいだけだよ、少しで良いから」



 あの男は……見た事がある。どこかの伯爵家の……あぁ、分かったぞ。



「困ります。私には婚約者がいます」


「真面目か! 婚約者に黙っていれば良いだけだよ。せっかくだから遊ばなきゃ、」



「ルビナ」


「あ、ジェイ様。今来たのですか?」


「遅くなってしまった、ゴメン。ところで君達は私の婚約者に何か用事でも?」



「い、いえ。ありません」


 たじろぐ男達。


「君は確かボナリー伯爵子息……かな?」


「え、あ、はい」




「伯爵とは会う機会があるから君の事も噂には聞いているよ。私の名前はジェイ・デュランドと言う」


「デュランド伯爵……」


 と言うと子息は固まった。


「もう一度問うが私の婚約者に何か用かな?」



「滅相もありません!」


「そう? それでは失礼」


 ルビナお姉ちゃんの肩を抱いた。



 ジェイ叔父さんいいタイミングで助けに来たねぇ。ルビナお姉ちゃんがこっちの席に案内してきた。



「マルク来ていたのか」


「ジェイ叔父さん、ナイスタイミングだったね! あと少し遅かったら僕が行こうかと思ってたのに」


「お前が出ると面倒な事になるだろう……ハドソン侯爵家の嫡男なんだぞ」


「誰が誰に声をかけたかちゃんと分からせるくらいだよ。ジェイ叔父さんだって伯爵家当主だよ! 何言ってんの?」



 ボナリー伯爵家の領地で起きた水害で侯爵家もジェイ叔父さんも支援していた。こう言う時は助け合い(恩を着せる)だよね。



 ルビナお姉ちゃんが誰と婚約をしているか知らないなんて、バカだよね? うん。


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