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お茶会2


「検分も済んでいるよ。貴女の家族が協力的で助かったよ」


 マルクさんの話は続く。


「家族? もしかしてっ!」


 ガタンっと席を立つ令嬢。


「貴女の実兄に決まってるよね。貴女のことは目に余っているようで、おばぁ様に相談をしてきたようだよ? 貴女より家を守る事を選んだんだ。この瓶の中身は別の液体に変えてあるから、口にしても害はない。しかし入っていた中身は違法だからちゃんと処罰は必要だよね」


 大人顔負けの饒舌なマルクさん。足を組んで瓶を摘み弄ぶ様な仕草だった。その瓶の中身が違法の液体? なんですよね! 危険なのでは?



「なんのことか……」



 真っ青な顔の令嬢……


「惚けたって無駄、あとは自分の家で沙汰を待つと良い。母上、それで良い?」



「えぇ。残念だわ。まさかハドソン侯爵家のお茶会に物騒なものを持ち込みそれを侯爵家の家族に盛ろうとするなんてね」



 さぁーっと冷たく言うジュリアンヌ様。いつものジュリアンヌ様とは全く違います。お義母様もその様子を見て頷いていました。


「これを飲んだらどうなるのか、貴女で試してみる? これをルビナお姉ちゃんに盛った時点で、うちを敵に回す事になるんだから、犯罪者のあんたの家族はどうなるか考えた? よくて取り潰し、悪くて一族みんなの命はない」



 にこりと微笑むマルクさん。



 その後令嬢は“やめて! 許して、悪気はない”と“ジェイ様に会わせて、わかってくれる”と泣きながら連行されました。



 私はと言うと呆然と立ち尽くす事しか出来ませんでした。



「ルビナさん、ごめんなさい。驚いたでしょう? 皆さんも断罪劇を目の当たりにして驚いているわよね?」


 こくんと頷く令嬢達。




「ジュリアンヌ様、これは一体……」


 つい口にするとお義母様が説明をすると言いました。



「私はお茶会を通じて侯爵家を支えてくれる方々と懇意にしているの。でも中には悪意を持っている子達もいるのよ。侯爵家と懇意にしているからといって、態度が大きくなったりする家もあって困っているのよ。もちろんここにいる子達は無関係よ。今退出させた子は主人の親戚の伯爵家の子で、ジェイを狙っていたの。あ! ジェイは早々に断っていたから安心してね」


「はい」


 にこりと笑う義母様。連行された令嬢は美しい方でしたが、誰も彼女の名前を言わないんですね。



「あの子には何度も注意をしてきたの。アリスも何度か嫌がらせをされていたわね? アリスの婚約者は伯爵家の嫡男で、自分はジェイとうまくいかないものだから陰でアリスに当たって……本当バカな子」



 アリス様を見ると苦笑いをしていました。事実のようです。



「うちの子達はむさ苦しくても侯爵家の子だから、縁を繋ぎたい家や令嬢達が困ったことにたくさんいてね、長男、次男の時もあれやこれやで大変だったわ。ジュリアンヌが現在の侯爵夫人ですから、今日この場で何かあったら納めなさい。と言ってあったの。侯爵家の夫人なんて優しいだけじゃ務まらないし時には厳しく対応を迫られる時もあるの。皆さんもこれから結婚して夫人になるのだから、こういった場面に出会す事もあるかもしれない。今日は皆さんを巻き込んで悪かったわ」



 頭を下げるお義母様。


「伯母様、勉強になりましたわ。彼女には困っていたのですもの、皆さんもそうよね?」


 アリス様が言うと他の令嬢も頷いていた。それにしても……マルクさんって? チラリとマルクさんの方を見るとにこっと笑った。



「お茶が冷めてしまったみたい。ルビナお姉ちゃん新しく淹れて? 僕ルビナお姉ちゃんが淹れてくれるお茶が好きなんだよね」



 レオ様から頂いたお茶を丁寧に淹れて皆さんにお出しした。マルクさんはこのお茶を出したかったというのを察してくれたのね。


「まぁ、美味しい」

「香り高いお茶ですわね」

「どちらのお茶ですの?」

「ルビナさんがご用意してくださったの?」



 質問攻めにあいました! 



「あ、はい。このお茶はジェイ様のご友人から送られて来たお茶です。たくさん頂いたのでお義母様に許可を得て本日はお待ちしました」


 今回は二種類持って来たので、二杯目も楽しんで貰うことにした。中々好評のようです。


「どちらで買えますの?」


 


「これはまだ販売前の品で、輸入出来るようになったらジェイ様の知り合いのお店で取り扱いという形になると思います」


 ジェイ様のお店には食品は扱っていない。香水なども置いてあるから、茶葉を置くことは出来ないので、知り合いのお店で販売すると言っていた。窓口はジェイ様らしいですけれど。



「まぁ。楽しみですわね!」


「皆さんのお土産にと思いお持ちしましたのでお帰りの際にお渡し致しますわね」



 ふぅ。これでお茶の紹介は終わりました。令嬢断罪劇の後でお茶の説明に持ってこられるとは思っていませんでした。マルクさんは美味しそうにお茶を飲んでいました。



 それにしてもマルクさんって……?


 令嬢の事に触れる事なく、お茶会は終了となりました。




「ルビナお姉ちゃん、本を読もう。約束したよね?」



 マルクさんに誘われたので、侯爵家の図書館へ行きます。



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