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徐々に……


 付き合い始めて数ヶ月、今日はジェイ様のお屋敷に来ました。


 庭を散策中の出来事。





「危ない、ルビナっ」


 石畳の段差に躓き転びそうになったところをジェイ様に助けられました。



「あ、ありがとうございます」


 少しの段差だったのに足が上がっていないのかもしれません……


「気をつけてくださいね。うーん。ここは段差があるのか……女性の歩幅だと」


 ぶつぶつと何かを言うジェイ。



「少し修繕が必要なようです。早速手配をしますね。どうしました、ルビナ嬢?」


「え、えっと今ルビナって呼んだので……」


「え、あ! すみません。驚いてしまってつい!」


 ふるふると頭を振るルビナ。


「嬉しいです」


 呼び捨てというのは特別感があります。距離が縮まりそうな? 感じです。



「ルビナとお呼びしても良いですか?」


「は、はい、どうぞ」


 名前呼びをする事により、壁がまた一段低くなったような気がする。二人の仲は徐々に縮まっていく。


 屋敷で働く者たちは、そんな主人の姿を微笑ましく見守っていた。



「あれですね、遅く来た青春?」

「春が来たってやつですかね?」


 少し主人を揶揄うように、自分の事のように喜んでいた。


「お嬢様は日に日に美しくなっていますよね」

「伯爵様も更に忙しくなっているな」

「取引先が増えているし、」


「コホン、サボってないで手を動かしてください」


 執事長に注意される者まで。


「「「はい、すみません」」」


 と謝罪し持ち場に戻る使用人達。


「主人が家にいるというのに全く……」


 といつつも執事長も微笑ましく思っているようだ。


「坊ちゃんにもようやく春が来たか……さて、お茶の準備はどうなっていますかね」


 庭の散策の後はお茶をする。レオナルドから大量にお茶が送られてきていて、この国にはない花のフレーバーのお茶は令嬢に人気があるようだ。



「良い香りですね」


「爽やかな香りがしますね。しかしまた大量に送ってきましたね。気に入ったのなら夫人や友人に持っていかれますか?」


 どっさりと送られてきたお茶。早く飲まないと湿気ってしまっては勿体無い。



「良いのですか? リラックス効果もありそうだから喜ばれそうです」


「そうですね。あちらでは令嬢に人気という事なのでレオナルドはルビナにと思って送ってきたのだと思いますよ。ルビナに飲ませて欲しい。と書かれていました」


 はいと言って渡された手紙を読む。五種類もあるんですね。お花のフレーバーにフルーツフレーバーですって!



「お礼の手紙を書かなくてはいけませんね」


「私が預かりますよ」


 お礼の手紙をジェイ様に渡す事にした。

 

 ******


 レオナルドが送ってきた紅茶は、珍しい物でルビナはとても気にいり、早速お茶会に出した。


 お茶会のメンバーはソフィアさんとお兄様の婚約者シンシアさん。




「良い香りですねわ」


「香り高くて癒されますね」


「ジェイ様のお屋敷にたくさん送られてきたようでお裾分けしてもらいました。帰りにお持ちくださいね」


 ジェイ様と行った旅のお土産をシンシアさんに渡した。シンシアさんにはシルク生地のポーチとハンカチを選びました。



「まぁ、素敵。ありがとうございます。楽しい旅になったようですわね」


「はい。ジェイ様が今度シンシアさんにも挨拶をしたいと言っていました」


 ジェイ様とのお付き合いはお兄様を通じて知っていました。



「こちらこそ喜んで。とお伝えくださいね。ルビナさんもソフィアも将来の相手が決まって良かったわ」


 ソフィアさんも婚約者が決まってお披露目会をするとの事で私も招待されました。ジェイ様に声を掛けたら、一緒に行ってくれるようです。初めてパートナーとして出席するので、ドレスをプレゼントするとジェイ様は張り切っていた。


 パートナー役にドレスを贈るのはよくある事なので、有り難く受け入れました。



******

 

「ルビナはどういったドレスが良いですか?」

 

「重くないものが良いです」


「そればかりですね」




 ルビナがジェイをパーティーに誘った事により、早速デザイナーとの打ち合わせが始まった。デザイナーは軽やかな素材を使ったふんわりとしたドレスを提案した。


「ドレスのスカート部分はふんわりとさせて、上半身はシンプルに、ボレロを着て華やかに仕上げましょう」

 

 基本はピンクでブラックを差し色を使う事によってただ可愛らしいだけではなく、締まる感じになる。



「黒はデュランド伯爵の色ですから、使ってみました」


「ジェイ様の髪色ですものね」


 ふふっ。


「はい。ルビナ様のようにお若い方が黒色をうまく取り入れてくださると、世の中の黒髪・黒い瞳の方からは感謝される事になるかもしれませんわね」


 黒いドレスもないことはないけれど華やかさには欠けるので若い令嬢達の間では避ける色でもあります。デザイナーさんはあれ、これと考えて、黒のフリルやレースを使ってくれました。



 そのドレスを着ているとソフィアさんの婚約パーティーで、いろんな方に声をかけられました。



 黒を差し色に使うドレスは大当たりで、首飾りなどのアクセサリーも黒色が受け入れられるようになりました。


 ジェイ様の支援している領地ではパールが有名らしくブラックパールが今回の件で人気が出たんですって。


 ジェイ様はパールを使ったアクセサリーをお店で販売するようになっていたので、人気が出て完売するほどなんですって。



 広告塔? としては嬉しい限りです。


 

 


 

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