報告をします3
お父様にお付き合いを認められて、ジェイ様は帰ることになり、見送りをしました。
「正式に付き合いが認められて良かったです。近いうちに実家に報告に行ってきます」
将来を考えている関係だもの。両家に挨拶をすることになるのは必然ですよね。
「はい。どうぞ……よろしくお伝えください」
少し顔が引き攣ったかもしれません。
「ははっ。なんて顔をしているんですか。ルビナ嬢の話をしたら家族は喜ぶだけですからご安心を。また連絡しますね」
「はい、それではまた」
と私が言うとジェイ様はとても嬉しそうに笑った。
「ルビナ嬢からまたと言われるのはとても嬉しいですね。また近いうちにデートをしましょう」
「はい」
「手を……」
……手? そっとジェイ様の手の上に自分の手を乗せた。
すると触れるだけのキスを落とされた!
「きゃっ」
「今はこれくらいにしておきます。子爵から承諾も得ましたから、お許しください。嫌ならもちろん触れません」
……イヤ、じゃない。
「ハイ」
「ふふっ、ありがとうございます。段階を踏んでお付き合いをしていきましょう、お疲れでしょうからゆっくり休んでください。これ以上いると離れがたくなるので……失礼」
ジェイ様が帰って行った。家は落ち着くけれど、ジェイ様との旅は楽しかったな……また、行けたら良いなぁ。
******
「お土産です」
お父様とお兄様にはネクタイとチーフ、お母様にはストールとハンカチを渡した。シルクが名産で触り心地がとても良くて、うちの国で買うよりも安く購入できるのでした。
「「「ありがとう」」」
お父様とお兄様、お母様も気に入ってくれたみたいでした。
早速お父様に使わなかったお金をお返しした。
「……全然使ってないじゃないか」
お父様がいうのも納得なんです。お父様がリリに尋ねた。
「お支払いはジェイ様が。お嬢様が使ったお金は旦那様方のお土産とご友人へのお土産代くらいです」
そうなんですよね。滞在費とか食事代とかついでといって全て支払われた後で……
「そうか……」
「ルビナ、可愛い首飾りをしているのね」
ドレスと一緒に貰ったリボンを模った首飾り。
「これはジェイ様から、」
「……そうか、」
お父様がため息を一つ吐いた。
「大事にしなさい、とても良い品だ……やはり貢ぐタイプだったか……」
最後の方がよく聞こえませんでした。でも聞ける雰囲気ではなくて……
「いいか、ルビナ。将来を見据えた付き合いというのは、婚約して結婚をするという事だ」
「……ハイ」
「付き合いは認めるが節度ある交際を、イヤな時はイヤだとしっかりいうように、あと相手は何かとプレゼントをしてくるかもしれないが……貰っておけ」
断りなさい。じゃ無いの?
「ジェイ様はルビナに似合いのものが分かっているって事よ。さぁ、疲れたでしょうから食事の時間になるまでお部屋でゆっくりしなさいな」
「はい、お母様」
ジェイ様との事、家族に反対されなかったな、良かった。
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「ルビナったらあんなに照れて可愛らしいわね、あなた」
「……ノーコメント!」
「え、今更ですか? ジェイ様は良い方じゃないですか」
「今はいい顔をしているだけかもしれない」
「侯爵様と話もしてあるんでしょう? 可愛いお嬢さんだと言われて悪い気はしなかったんでしょう?」
「そりゃ自分の娘は可愛いに決まっている。だから幸せになってほしい。もうあんな思いはして欲しくない」
「それはそうよ。でもルビナの人生ですから、ルビナが良いというなら応援してあげましょうよ」
「ジェイ殿はちゃんと誠意を見せてくれた」
「えぇ。ルビナの事を大切にしてくれるわよ! なんたって貢ぐタイプなんでしょう」
くすくすと笑うルビナ母。
「断ったって寄越してくるから、好きにさせとけば良い」
「そうね」
その言葉に後で驚くことになるローゼン夫妻だった。




